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第20話side.紘斗
〜side.紘斗 〜
おでこにキスをしながらスウェットのウエスト部分からそっと手を差し入れる。
下着の上からゆっくり撫でると、湊世 の先端が触れているあたりの布が湿っていた。
湊世も感じてるんだ…。
その事実が嬉しくて、瞼や頬骨に口づけながら、濡れた場所を何度も指で往復させた。
「湊世…濡れてる…」
「…紘斗さん…」
湊世は俺の手を取ると、そっと下着の中に迎え入れてくれた。
初めて触れる湊世の大切な場所。
湊世の体格に合った可愛らしいサイズ。
湊世の肌みたいにしっとりしていて張りがある。
じっと見つめながら、指先で雫をすくい取って、ツルツルの先端に塗ると湊世の息が乱れ出す。
「湊世も触ってみる?」
俺を見つめたまま小さくうなずくから、触れやすいよう片手でスウェットとパンツを下ろした。
「い、いきなり生紘斗 さん…!」
耳や首筋あたりまで真っ赤になってうろたえる湊世の初々しさがたまらない。
「そう。生の俺だよ。生の湊世も見せて…」
いい?…と聞きながら、ゆっくり下を脱がせた。
ぷるん…と下着から控えめに姿を現した湊世自身。
胸の先と同じ淡い桜色をしていた。
下の毛も薄っすら生えているだけ。
色々な場面で男の下半身を目にしてきたけど、こんなに無垢で清らかなそれを見た事がなかった。
震えながら俺に体を晒す無防備な湊世。
可愛い性器をすぐにでも舐めたい衝動に駆られた。
でも、湊世の気持ちを置き去りにはできない。
大切に抱こうって決めたから。
「可愛いよ、湊世。全部可愛い」
ゆっくりと体を抱きしめた。
「サラサラの髪が可愛い」
前髪とおでこにそっと唇を寄せた。
「優しい瞳が可愛い」
瞼にそっとキスをした。
「小さな耳も可愛い」
今度は耳へ。
「ふわふわの頬も可愛い」
唇で柔らかな環生の頬の感触を楽しむ。
湊世はくすぐったそうにしてたけど、喜んでいるように見えた。
「ぁ…」
唇で首筋に触れると、湊世の可愛い唇から漏れる甘い吐息。
胸の奥から喜びが込み上げてきて、舞い上がりそうになる自分に、落ち着け、落ち着け…と繰り返す。
湊世の気持ち最優先だ。
俺がここで暴走したら湊世が怖がる。
たっぷりと時間をかけて、体中に口づけた。
「あの…紘斗さん。これ…」
俺の唇が湊世の腰に触れ始めた頃。
湊世が手を伸ばしてベッドサイドの引き出しから取り出したのはローションとコンドームの箱。
開封済みだったから、すぐに使えるように気を配ってくれたんだろうか。
ナチュラルな湊世の部屋に似つかわしくない、無駄に煌びやかなその小箱。
俺に抱かれるためだけのアイテム。
いつから、準備していたんだろう…。
何を考えながら、これを買ったんだろう。
コンビニで真っ赤になりながらレジに差し出したんだろうか。
それとも照れながらネットで吟味したんだろうか。
その姿を想像するだけで愛おしい気持ちが溢れた。
湊世はコンドームをつける派なのか…。
もちろんそうした方がお互いのため。
でも俺は…湊世に限っては何の隔たりもなく繋がりたいと思った。
誰も手に入れた事がない湊世の全てが欲しかった。
「あの…俺、本当はそのままの紘斗さんが欲しいです。でも、衛生面とかそのあたりが気になるなら…つけてください」
恥じらいながら一生懸命自分の気持ちを伝えようとする湊世。
湊世も同じ気持ちだった事に心が震えた。
「俺もそのままの湊世がいいよ。湊世だけは何もつけずに抱きたい」
『湊世だけ』を強調してしまった。
今までの相手にもそうしてきたと思われたくなかった。
湊世だけが特別だと伝えたかった。
「俺…だけ…?」
「あぁ、湊世だけだよ」
「嬉しい…、紘斗さんの初めて…」
幸せそうに頰を染める湊世が可愛くて愛おしくて…。
感情が昂りすぎて涙が出てきた。
「紘斗さん…?」
心配そうに俺を見上げる湊世。
華奢な体を夢中で抱きしめた。
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