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第21話(※)side.紘斗
〜side.紘斗 〜
「湊世 …いい?」
「はい…紘斗さん」
初めてはお互いの顔が見える正常位。
セックスなんて数え切れないくらい経験してきた。
でも、湊世相手だと思うと手が震えそうになる。
たくさんほぐして柔らかくなった湊世の蕾に先端をあてがうと、奥へ誘うように吸いついてくる。
湊世も欲しがっているのかと思うと、嬉しくてどうにかなりそうだ。
「好きだよ、湊世」
「俺も…好きです」
見つめ合いながら、少しずつ体を繋げていく。
緊張で強ばる湊世の肩を撫でて微笑みかけると、少し体の力が抜ける。
奥へ進むと、だんだん潤んでくる愛らしい瞳。
シーツを握りしめている小さな手を包み込むようにして指先を絡めた。
ずっと欲しかった湊世の中は温かくて、俺自身に甘えるようにまとわりついて、時々キュ…キュ…と締めつける。
体の具合まで湊世と同じ甘えん坊で慎ましやかで。
それを愛おしいと思う反面、とことん愛して乱してみたいとも思う。
「一つになれたね」
「はい…」
「体…辛くない?」
「はい…」
話しかけても返事しかしない湊世。
緊張してるのか、どこか痛むのか、それとも俺が話しかけすぎて、口を開くタイミングがないのか…。
何を考えているのかが知りたい。
無理だけはさせたくないんだ…。
「幸せだよ。やっと湊世と結ばれた」
きっとまた『はい…』だろうと思って、頬を撫でる。
湊世を抱く事ができただけで幸せなのに、つい欲張ってしまう。
湊世の同意以外の言葉も聞いてみたい…と。
「俺も…幸せで…夢みたいです」
少し微笑んだ湊世は、俺の背中に手を添えてきゅっと体を寄せてきた。
「キスして…紘斗さん…」
そこからはもう夢中だった。
熱に浮かされたみたいに湊世の唇や体を求めた。
「あぁん…紘斗さん、もっと…」
体を繋げる前は恥ずかしそうにしてたいた湊世も、自分から舌を絡めてきたり、俺の手を胸に導いたり…と、想像以上に積極的だ。
うっとりした表情や気持ちよさそうな声に胸が熱くなる。
「気持ちいいの?湊世…」
わかりきった事なのに、どうしても湊世の言葉で聞きたい。
湊世の好きな胸を愛撫しながら聞くと、素直にうなずいた。
「気持ちよくて…ずっと抱いてて欲しいです…。でも…紘斗さんのもっとエッチな顔も見てみたい…。俺で気持ちよくなる紘斗さんが見たいです…」
湊世の言葉や表情、仕草…全てが興奮材料。
俺が求めていた以上の言葉。
あぁ、俺は湊世に愛されている。
今まで感じた事のない喜び。
下半身に熱が集まってくるのがわかる。
「これ以上…気持ちよくなっていいの?」
「はい…。紘斗さんが気持ちいいと、俺も気持ちいいから…」
俺の頬に手を添えた湊世は、親指で俺の唇をゆっくりとなぞった。
妖艶で大人びた誘うような微笑みと、うねった熱い内壁に翻弄される。
「湊世、好きだよ。愛してる。湊世の中で果てたい」
「俺も紘斗さんが好きです。一滴残らず注いでください…」
ぎゅっと抱き合って唇を重ねる。
お腹の裏側に先端が当たるように擦りつけると、湊世の声が甘くとろけていく。
俺も限界が近い。
「湊世、一緒にイこうか…」
「はい、紘斗さん…」
俺たちは見つめ合ったまま、一緒に初めての絶頂を迎えた。
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