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第22話
「湊世 、愛してるよ」
「俺も…愛してます」
微笑み合ってキスをする。
果てたばかりだから、ちょっと気だるくてふわふわいい気持ち。
いっぱい汗をかいたから、触れ合ってる部分がしっとりしてる。
汗と精液でベタベタするけどまだ離れたくない。
体を離そうとする本條 さんの腰にぎゅっと脚を絡めてイヤイヤをする。
「湊世…?」
「もう少しだけ…」
そう伝えると、本條さんは嬉しそうに微笑んだ。
髪を撫でてくれる優しい大きな手。
本條さんに抱かれてすごく幸せだった。
繋がった部分が溶け合うみたいに温かかった。
俺に負担をかけないよう、ずっと気を配ってくれた事が嬉しかった。
こんなに誰かを欲しいって思ったのは初めて。
気持ちよすぎて気絶しそうになったのも。
夢中になって淫らな声で喘いでしまったのも。
本能のまま俺を求めて欲しいって思ったのも。
俺の中で果てて欲しいと思ったのも。
本條さんは時々不安そうな顔をするから、頑張って気持ちを伝えたけど、余裕がなくて言葉にできたのはほんの少しだけ。
本当はもっと伝えたかった。
本條さんが大好きだって事…。
「可愛いよ、湊世…」
本條さんは俺に覆いかぶさったまま、おでこにキスをしたり耳を甘噛みしたり。
『可愛い』って言われるのはくすぐったいけど、すごく幸せ。
本條さんに頬を撫でられている時、ふとカブ子の事を思い出した。
カブ子も大好きなカブ太に抱かれた後、こんなふわふわした気持ちになったのかな…。
世界中の誰よりも幸せだなぁって思ったのかな。
明日こっそり聞いてみよう…。
「紘斗 さん…。俺…生きてきた中で今が一番幸せです」
「…ありがとう、湊世」
本條さんは、俺が今まで見てきた中で一番幸せそうに笑った。
俺が幸せだと本條さんも幸せなんだ…。
ほわっと優しくてあったかい気持ちになった。
「これからもっともっと幸せになろう」
ずっと一緒だよ…と、俺を抱きしめる腕に力がこもる。
「はい…、紘斗さん」
俺からもぎゅっと抱きついて瞳を閉じる。
本條さんの近づいてくる気配に、心臓が騒ぎ出す。
俺たちは触れるだけの約束のキスを交わした…。
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