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第27話(※)
「湊世 …わかる?少しずつ入っていくよ…」
もう少しだけ力を抜ける…?と、声をかけてくれる優しい紘斗 さん。
あれからたくさん時間をかけて俺の体の準備をしてくれた大好きな紘斗さん。
恥ずかしいし、嬉しいし、気持ちいいし…で、頭がふわふわしてどうにかなってしまいそうだった。
脚を開いて熱くて硬い紘斗さん自身を受け入れていく。
だんだん紘斗さんで満たされていく俺の体。
俺の望み通り、ゆっくりゆっくり…。
正常位を選んでくれたのは、きっと俺がセックスに不慣れだから。
俺に無理をさせないように、俺が淋しがらないようにお互いの顔がよく見える体位にしてくれたんだと思う。
「ぁ…紘斗さん…」
「全部入ったよ。もう大丈夫」
体を繋げたまま抱きしめてくれるから、俺もぎゅっと抱きついた。
密着する体も、絡み合う中も、通い合う気持ちも全部が紘斗さんでいっぱい。
「辛くない?湊世」
「うん…。すごく幸せ」
俺が微笑むと、紘斗さんは心から嬉しそうに笑った。
その笑顔に胸が熱くなる。
俺の幸せをこんなに喜んでくれるなんて。
紘斗さんに愛されて幸せだって伝えたい。
生きていてよかった、俺も愛してるって伝えたい。
「今…湊世の中がキュッと絡みついてきたよ」
「紘斗さんが好きって思ったら、体が勝手に…」
「嬉しいよ、湊世。もっと湊世を愛してもいい?」
「うん…」
俺の返事を待ってくれた紘斗さん。
俺を抱きしめたまま少しずつ体を動かし始めた。
「…っ、あぁん…」
「好きだよ、湊世…」
俺の手を握っておでこにそっとキスをしてくれる。
優しくされて嬉しいのに…切ない。
おでこだけじゃなくて、唇にもして欲しい。
「紘斗さん…」
紘斗さんの頬に触れてちょっと引き寄せる。
はむっと下唇を甘噛みしてキスをねだってみた。
「湊世…。そんな可愛い事をして…」
照れたような表情を浮かべた紘斗さんも、俺の下唇を甘噛みしてくれた。
唇の内側の温かさと柔らかい感触が嬉しくて瞳を閉じた。
視覚からの情報を遮ったら、もっと唇の感触がリアルに伝わってくる気がして…。
「ん…はぁ…んっ…」
口づけがどんどん深くなっていって、紘斗さんの舌が頬の内側や俺の舌をくすぐるように撫でていく。
粘膜や唾液が絡み合う音がしてすごくエッチ。
体がビクビク反応してしまうくらい気持ちいいけど、紘斗さんの姿が見えないのが淋しい。
俺は『気持ちいい事』じゃなくて『一緒に気持ちいい事をしてくれる紘斗さん』が好きなんだって気づいた。
胸がキュウっとなって、温かくなって、涙が溢れてきた。
「紘斗さんが好き…。大好き…」
「俺も大好きだよ、湊世」
俺を見つめる紘斗さんの瞳も潤んでいた。
紘斗さんも同じなの?
泣けちゃうくらい俺の事を好きでいてくれるの…?
…そこからはもう夢中だった。
濃厚で熱烈な口づけと、まだ未開発の奥の方に触れるような腰づかい。
密着した紘斗さんの体で胸も下半身も擦られて…。
お互いの生命を感じ合える事の喜びでいっぱいだった。
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