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やきもちバレンタイン 第11話(村雨)

「よぅ!もう大丈夫なのか?」  一週間ぶりに仕事に出て来た村雨に一番に声をかけてきたのは先輩だった。 「ああああ!!先輩っ!!休んでる間いろいろお世話になりましたぁあ!!……で、ちょっと、先輩いつの間に春海さんと親しくなったんですかっ!?」  先輩の腕を引っ張って人気(ひとけ)のない場所に連れて行くと問い詰めた。 「ぁん?そりゃ、年末にお前の携帯で電話したことがあっただろ?あの時」 「うっそ!?俺に黙って何やってくれてんですかぁあああ!!」 「何言ってんだ。あの時おまえも春海さんと話したぞ?酔ってたから覚えてないか?まぁ、そのおかげで春海さんが看病しに行ってくれたんだから、良かっただろう?」 「ぅぅ……それはそうですけど……」  確かに、村雨の家を知らないはずの春海が看病に来てくれていたのは、先輩のおかげだった。  2日目の夜、様子を見に来てくれた先輩が、村雨の携帯から春海に電話をしてくれて、村雨がぶっ倒れてるから看病をしに来てやってくれと、住所と合鍵の隠し場所を伝えてくれたらしい。 「だいたいな、自分の恋人には家くらい教えておけよ~!」  ごもっともです…… 「春海さんほぼ休みなしだから、俺から会いに行けばいいかと思って……」 「おまえってホント……賢いくせにたまに抜けてんだよな」 「うぅ……」 「そんなことより、休んでた間の仕事がいっぱい溜まってるんだから、キリキリ働けぃ!」 「ふぇ~い――」 ***

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