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冬の雨 第3話(村雨)
「春海さん、いいですか?」
後片付けを済ませて、ソファーで待つ春海の隣に座る。
「ど、どうぞ!!」
春海が、抱きしめていたクッションを後ろに置いて真っ赤な顔で両手を広げた。
だから……そんなに構えなくてもいいってば。
ここで笑うと春海が拗ねるので、何とか笑いを噛み殺して春海に抱きついた。
別に黙って抱きついても怒りはしないのだが、こうやって事前に聞くと春海の反応が面白いので、つい聞いてしまう。
春海の首元に顔を埋めると、ふわりと甘い匂いがした。
あ~……いい匂い……
首筋に軽くキスをする。
「ん……っ」
春海が小さく息を呑んで、村雨の服をぎゅっと握りしめた。
……可愛い……いちいち反応が可愛くて困る。
あ~くそ……そんなにいい反応されたら、こっちまでつられる……っ!
が、こんなに全身ガッチガチに緊張されていたら、さすがに手が出せない……
春海は元々性欲が少ないらしいのだが、そのくせ身体が異常に敏感だ。
身体と心が相反する上、極度の照れ症なので……あまり強引にできない。
そっとため息を吐くと、春海を抱きしめ安心させるように背中をトントンと撫でた。
しばらく続けていると、春海の身体から力が抜けて村雨にもたれかかってきた。
毎回こうやって緊張を解してあげないと、普通にイチャイチャすることさえ難しい。
まぁ、そんな時間も楽しんでるからいいんだけどね……
村雨がふっと口元を綻ばせた時、春海が村雨の首元に顔を摺り寄せてきた。
こらっ!!そういうとこだよ、春海さんっ!?
無意識に煽ってくるんじゃありませんっ!!!
一瞬頬が熱くなりかけたが、ふと春海の視線を感じて顔を引き締めた。
「ん?どうしたんですか?」
「……しないの?」
「え!?」
「キス……今日はしないのかなって……」
あ、そっちね!
うん、わかってたよ!?わかってるよ!?キスね、うん!しないのかって?そんなの……
「したいですか?」
「え!?……だ、だって村雨さんいつも……キスしてくれるから……」
「どうしよっかなぁ~……」
「あ……あの……すみません!別に無理にしなくても……っんむ!?」
春海が赤面しながら俯きかけたので、上を向かせ口唇を重ねた。
俺はただ、俺が一方的にするんじゃなくて、春海さんからもしたいって言って欲しかっただけなんだけどな……まぁ、それは無理か……春海さんはしなくても大丈夫な人だもんな……
俺が触るのは嫌じゃないらしいから、それだけでも良しとしなきゃだけど……
「あのね、今のは、どんなキスをしようかなっていう意味ですよ?」
「ふぇっ!?」
「春海さんはどんなキスが好き?」
「どどどんなって……あの……村雨さんがしてくれるのはどれも気持ちいいから……全部好きです……」
んん゛っ!?
「それは、全部してってこと?」
「じぇっ!?いや、あの……あ、イヤじゃなくてっ!えっと……ぜ、全部!?全部って……」
「はいはい、じゃあ、順番にしていきましょうね~」
「え、ぇええええっ!?……っぁ――」
村雨はにっこり笑うと後ずさりをする春海を捕まえソファーに押し倒した――
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