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やきもちバレンタイン 第14話(春海)
「さてと、じゃあそろそろ寝ますか」
「え、あ、はい、そうですね。村雨さん病み上がりですし……」
村雨の言葉に、思わず時計を見た。
普段ならまだ起きて二人でテレビを観ている時間だけれど……
「何言ってんですか、春海さんのためですよ」
「はい?」
「俺はカビが生えそうなくらい寝たけど、春海さんはここ数日、ほとんど寝てないでしょう?無理させた俺が言うのもおかしいけど、春海さんすぐに無理しちゃうから……だから今日は早く寝ますよ!ほら」
「あ……はぃ」
ベッドに寝転ぶと、隣に寝転んだ村雨に抱きしめられた。
村雨に抱きしめられると、緊張するけれど嬉しい。
看病をしていた時だって、最初こそ大失敗をしてしまったが、慣れて来るといつものように安心できたし、夜も村雨のベッドで一緒に寝ていたので、村雨が無意識に抱きしめてくれていたせいで結構熟睡していたのだ。
――村雨と付き合って約半年。
抱かれたのは年末に一度きり。
その後は、またプラトニックな関係に戻った。
やっぱり男じゃダメなのかと思ったが、そうではなく春海の身体を心配してのことらしい。
たしかに、思っていた以上に疲れて自分でもびっくりしたが、初めてだったからかもしれないし、徐々に身体も慣れていくはずだ。
春海がそう言っても、村雨は困ったような顔で笑うだけだった。
村雨さんは……それでいいの?
これは……わたしが頑張って誘惑してみるべきなのかな!?
「む……って、あれ?」
意を決して誘ってみようとしたのだが、春海が顔をあげると村雨はもう寝息をたてていた。
やっぱり、一週間も寝込んでたんだから、久しぶりの仕事疲れたよね……
「お疲れ様でした」
呟いて村雨の頬を撫でると、胸元に顔を埋めた――……
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