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痕をつけてほしくて 第18話(春海)

 2階に上がると、村雨が暖房をつけて、ソファーに毛布を持ってきた。  呆気に取られている春海を毛布でグルグル巻きにすると、ポンポンと頭を撫でてくれた。 「電話するなら、ちゃんとあったかくして、ここでしてください。俺は先に寝ますね。ドアも閉めておくし、もう盗み聞きとかしませんから安心してください」 「待って下さいっ!」  春海は寝室に引き上げようとする村雨の腕を掴んだ。 「あの……わたし……さっきは村雨さんの陰口とか言ってたわけじゃなくて……その……」 「陰口を言われてたなんて思ってませんよ。俺に関することなら、俺に直接言って欲しいとは思いますけど、でも俺だって先輩に春海さんとのことでいろいろ相談することもあるし……友達じゃないと言えないこともありますよね。まぁ、ちょっと妬けますけど」  村雨はそう言うと、フッと苦笑した。 「村雨さんも……先輩さんに相談したりするんですか?」 「そうですね、たまに。ほとんどはただの惚気(のろけ)ですけどね」  村雨さんも先輩に相談してるの?一体どんなことを?  というか、村雨さんも相談したくなるようなことなんてあるんだ…… 「村雨さんは何を相談してたんですか?」 「え?あ~……まぁ、ハロウィンの時のこととか……だいたいやらかした時に反省会も兼ねて先輩に自分の愚痴を聞いて貰ってましたね」 「わたしも同じ感じです!!わたしも……あの……」  話を続けようとする春海の隣に村雨が座った。 「電話はもういいんですか?」 「あ、はい。大丈夫ですっ!!えっと、あ、村雨さんもこれ……」 「ん?あぁ、ありがとうございます」  村雨は、春海が毛布から出て村雨にも被せようとしているのを見ると、春海を抱き寄せて一緒に毛布に(くる)まってくれた。  あったかい…… 「さっきの友達は女性ですか?」 「はい、さっきのは幼馴染です!あの、常連客の(かん)ちゃんの孫で、理恵(りえ)ちゃんって言うんですけど、今は他県に嫁いでて……昔からお姉ちゃんみたいな存在で、今でもいろいろと相談とかして――」 ***

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