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ため息の花束 第65話(村雨真樹)※
止められないとは言ったものの、別に完全に理性が飛んだわけではない。
ただちょっと自分の欲望に忠実になっているだけだ。
さっきのように痣を作るようなことはしたくないので、律には優しく触れる。
「あの……っん……真樹さ、ん!」
「ん~?」
「あんまり見ないで……っ」
「でも、ちょっと時間経ち過ぎたからちゃんと解さないと……律さんが痛いでしょ?」
律の秘部を解していた真樹は、律を見ながら小首を傾げた。
さっきあんなに大胆なことを言ってたのに、何をいまさら……
律さんの照れるポイントがよくわからない……
「そそそうなんですけど……っん、でもその……あああんまりジッと見られると……恥ずかしいからっ……」
律が真っ赤になった顔を両手で隠す。
ん~……?
「なるほど、恥ずかしいなんて思う余裕がなくなるくらい蕩けさせろってことですね、わかりました」
そうかそうか、愛撫が足りないってことですね。
まぁ、そんなに話す余裕があるってことは、足りてないですよね。
にっこり笑いかけると、律の胸の突起を口に含んだ。
「ええ!?そんなことは言ってな……や、待って……舐めちゃ……ぁっ!」
「舐めるのはダメですか?」
声が出ないように律が口元を押さえながら、うんうんと頷いた。
「じゃあ……」
真樹は舌で舐めるのを止めて、口唇で食んだ。
「ぁん!……あああの、わたし男だから……胸は……っんぁ……」
「性別は関係ないですよ。律さんの全身舐めたいだけだし。ここ、嫌ですか?」
「え……そん、なことは……ないですけど……っ」
律は敏感なので、だいたいどこを触っても反応してくれる。
その中でも特に反応が良い箇所の一つが胸だ。
「わわわたし、男だから胸ないですしっ!!」
「それがどうかした?」
律が言っているのは、胸の膨らみのことなんだろうが……真樹はもともと巨乳好きというわけではない。
大きさよりは形と感度の方が……
「え……その……こんなぺったんこの胸なんて……」
「俺は律さんの胸好きですけど?この突起もちょっと弄るとすぐにぷっくり膨れてくるし……感度良いし……」
「膨れてって……ぁんっ……んんっ!」
真樹が指先で軽くつまむと、律が甘い声を漏らした。
「ほら、ね?」
「わ、わたし……男なのに……そんなところが気持ちいいなんて……おかしくないですか……?」
律が泣きそうな顔で真樹を見た。
あぁ、それで……
「ここは男性の性感帯の一つでもあるらしいですよ」
「え……そうなんですか?」
「はい。まぁ……個人差はあると思いますけど」
「じゃ、じゃあ、わたしも触ってみたい!」
「……はい?」
「真樹さんの触っていいですか?」
「え……あの律さん?」
「男性の性感帯ってことは、真樹さんもここ気持ちいいってことですよね?」
「あ~えと、まぁそうかもしれないですけど……」
律の言葉に動揺していると、興味津々の顔をした律が上に乗っていた真樹をグイっと横に倒し、真樹の上に乗ってきて胸の突起をペロリと舐めた。
「っ!……ちょ、律さんっ!?」
「ひもひい?(気持ちい?)」
「えっ……いや、その……っ!」
律さん、ごめんなさい……っ!!
確かに性感帯なんだけど、そこって開発しないと普通はただくすぐったいだけなんです……
律さんは元々敏感だから、ちょっと触っただけですぐに性感帯になったけど。
でも今それを言うと絶対怒られるっっ!!
それに……
俺はくすぐったいだけなんだけど……
律さんが俺の上に乗って一生懸命舐めている姿を見ていると……
あ~このアングルはヤヴぁいっ!!!!!何の試練なのこれっ!!
「むぅ~……あんまり気持ち良くないですか?」
「え!?……き、気持ちは……いいですよ?」
「本当ですか?だって、真樹さんさっきから全然余裕だし……わたしみたいに……こ、声出てないし……」
律が頬を膨らませて真樹を不満そうに見てくる。
んん?……待って、律さんは俺を喘がせたいの!?
律の爆弾発言に思わず絶句した。
「わたし……下手ですか?」
「ふぇ!?いや、下手っていうか……え~と……俺はその、あんまりそこじゃ感じないだけで……」
「そう……なんですか?じゃあ、どこだったら感じます?」
「どこって……」
え、そんなの……俺の股間で大きくなってるオレに決まってますけど……?
って、でも待って、それを知ってどうするの!?
まさか、口でするとか言わないよね!?
いや、して欲しくないわけじゃないけど……でも……
「どこが感じるっていうか、律さんが触ってくれるところは全部気持ちいいですよ?」
思わず、無難な方に逃げた。
ヘタレって言うな!!俺が一番ヘタレだと思ってるからっ!!!
でもね、よく考えてみてよ!?まだ二回目なんだよっ!?
俺がどれだけ我慢してきての二回目だと思ってるの!!
口でなんかされたら……律さんが口に含んだ瞬間に俺の理性ぶっ飛ぶわっっ!!!
誰に対しての言い訳かわからないけれど、ひたすら頭の中で言い訳をする。
「わたしが触るところ……?」
「うん、こんな風に……」
動揺を隠しながら律の手を取って、指先に口付けると、指を絡めた。
絡めながら指をすりすりと擦り合わせる。
「っん……ぇ、あの……真樹さん……」
「律さんの手、指が細くて長くてキレイですよね」
「っ……ああありがとうございます……あのっ、真樹さん!指、くすぐったい……っ」
「くすぐったいだけ?」
「え……あの、あの……き、気持ちいい……です……っ」
律はさっきまであんなに大胆に人の胸を舐めていたクセに、指をすりすりされただけで耳まで赤く染めて大人しくなった。
うん、本当に照れるポイントがわからない……
でもとりあえず、ちょっと落ち着いたかな?
まったくもう!あんまり照れてばかりでも困るけど、急に好奇心の方が勝って積極的になるのは……こっちの心臓がもたないからやめて欲しい……
***
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