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ため息の花束 第66話(村雨真樹)※

「ところで、律さん、このまま続きします?」  真樹は自分の上に乗っている律を見上げた。 「……へ?」 「体位。俺は別にこのままでもいいですけど……」  律に見下ろされるのも悪くない。  ただ、この体位だと…… 「体位って……?」 「あ~……えっと……する時の体勢っていうか……まぁいいや。おいで」  説明するより実践する方が早いと思った真樹は、律のうなじに手をあてて抱き寄せた。 「え、あの……真樹さん……?」 「ん~……ちょっと腰浮かせます?」 「え、え?あの……えっと……っぁ!」  いくらやる気があっても、まだ律さんが自分で挿れるのは無理だろうし……  真樹にもたれている律の後ろに自分のモノを擦り付けてゆっくりと挿入していく。 「まさっ……ぁ、待っ……んっ……」 「息止めちゃダメですよ。律さん、息吐いて。その方が痛くないから」 「ひんっ……っ……ん……っ!!」  律が真樹の胸元に頬を擦り付けながら、ぎゅっと拳を握りしめた。   「律さん、こっち見て?大丈夫、ゆっくりするから。ね?」 「ん……は、い……っ」 「怖い?止める?」 「やっ……!止めちゃ、ヤダ……っ」  律が慌てて首を振った。  そんな……涙目で震えてるクセに……   「……わかりました」  必死に真樹を見つめて来る律に微笑みかけて、背中を優しく撫でた。  まぁ、止める気はないけどね。止められないって言ってあるし。  頭を少し起こして律にキスをする。  耳元から首筋に口唇を滑らせると、律が頭をのけ反らせた。  露わになった喉元を愛撫しながら、力が抜けた瞬間、軽く突き上げた。   「ぁ……はっ、あアッ……っ!まさき、さんっ……?」 「ん?うん、もう挿入(はい)りましたよ?」 「え、はい……ったの?」 「はい、もう挿入ってますよ。わからない?」  律が逃げられないように腰をホールドした状態で軽く揺さぶる。 「ぁんっ……っや、待って……動いちゃダメっ!」 「まだ動いてませんよ。動くっていうのは、こういうのっ!」 「ぁあッ!……ん、やんっ……っんぁ」  真樹が下から突き上げ、腰をゆっくり律動(りつどう)させると、律が甘く喘いだ。  あれ……もしかして律さん、もう感じてる?  前回は律がこの声になったのはほとんどイく直前だったはずだ。  あ、さっき一回イってるから?いや、でもだいぶ時間経ってるけ……ど…… 「はっ、ん……真樹さ……っぁ……っ」  律が甘い吐息混じりに真樹の名前を呼び、首元に擦り寄ってくる。 「っ……!!」  律さん無意識に煽って来るんだよなぁ~…… 「真樹さ、ん……っ気持ち……い?」 「ん?うん、気持ちいいですよ?」 「……っ良かったぁ……んんっ!」 「律さんは、気持ち良い?辛くない?」 「ん……気持ち……いいです……っ」  完全に蕩けきっている表情で、律がふにゃっと笑った。  そういえば、前回も……律さんは同じことを聞いてきた。  あの時は、涙目で全身小さく震えていたし、表情も強張っていたけど……  今回は律さんも気持ち良さそうで少し安心した――…… *** 「律さん、ちょっとごめんね。体位変えてもいいですか?」 「ぇっ、あっ!や、抜けちゃぅ……っ!」  うん、これはこれで気持ち良いんだけど……  律さんを抱きしめた状態だと、この体位ではなかなか思いきり動けないのがもどかしい。  律さんが動いてくれれば大丈夫なんだけど……まぁ、それはまたそのうちに……    一応律がまだ辛そうなら、このままゆっくり慣らすつもりだったのだが……  どうやら今回はもう快感の方が勝っているようだし……?だったら…… 「……さてと、もっと気持ち良くなりましょうか」  律を押し倒した真樹は、ペロリと口唇を舐めると律ににっこり笑いかけた。 「ぇっ……!?あ、ぁアあっ!」  律の耳を愛撫しながら、一度抜いていたモノを一気に挿入する。   「あっ……待っ、深……いっ」 「ん、こっちの方が奥まで挿入(はい)るね。大丈夫ですか?」 「だ……だいじょう……んん゛っ!!」  蕩けきった律の表情が可愛くて、もっと声が聞きたくて……  律の弱い部分を繰り返し刺激する。    キスがしたい……舌を絡めて口の中をかき回すような濃厚なのを……でも、それをすると声が聞けないし……  そんなことを考えながら、律の顔中にキスを落としていく。   「律さん、好きですよ」 「……っぁ……ま、まさきさ……んっ!……大好きぃ……っ!」 「あ~もう可愛すぎっ……っ律、愛してる」 「っ!!ふぁ……っ……んっ!」  愛の言葉を囁く度に、律の中がキュンと締め付けて来る。  くっそ……いちいち可愛いっ……つられそう……っ!  コツンと律と額を合わせて、軽く口唇を重ねた。 「まさっ……ぁっン……まさきさんっ!」 「ん?なんですか?」 「もっと……キス、して欲しッ……っ!――」 「……いくらでも」  律が無意識に真樹を欲しがる仕草が、声が、瞳が……たまらなく愛しくて、少しだけ泣きたくなった――……   ***

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