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1話 呼ばれた夜①
結婚式の日の朝は予定よりも早く目が覚めてしまった。
隣を見ると、同じベットで寝ていた春菜は眠たそうにしながらも俺の顔を笑顔じっと見つめている。
「裕、おはよう。いよいよ結婚式の日だね。私、早く目が覚めちゃったよ」
「そうだね。俺もだ」
春菜と軽くキスを交わす。彼女の滑らかな白い肌に触れようとするもその欲を抑え、ベットから出た。
「早く準備しないと。遅刻したら大変だ」
まるで自分に言い聞かせるようにして、俺は寝室をあとにする。
階段を降りて1階に降りると、コップに水を注いで飲み干した。
そしてキッチンから、とても整理されたリビングとダイニングを見渡す。
俺と春菜は1週間前、この一軒家に引っ越してきた。
俺たちだけの家。
俺と春菜の貯金とお互いの両親からの寄付もあって、立派な家を建てることができた。
俺はこれから、春菜と二人で家族になるんだ。
「よし!」
気合を入れるために声を出したら、二階の階段から笑い声を出しながら春菜が降りてきた。
「ふふっ。気合い入れてるの?」
「春菜!いや…まぁ、せっかく両親も協力してくれてるわけだから」
「うん。そうだね。幸せにならなきゃ!」
俺と春菜は予定通り、結婚式の会場へと向かった。
準備の後に、お互いにタキシードとウェディングドレスへ着替え、すぐに式が始まった。
純白のドレスに包まれた彼女は正に天使のようだった。
そんな天使のような彼女に誓のキスをする。
彼女とキスとは今まで何度もしたが、本物の誓のキスにとても緊張した。
会場中が拍手で包まれる。
退場する時、ある青年に目が止まった。
彼女と同じく黒い髪に白い肌。
スーツを着ているが見覚えのある顔に懐かしく感じる。
それが久しぶりに会った水島直人の姿だった。
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