3 / 7
第3話
私は彼に、何も言えなかった。
今更何を言ったところで、それは言い訳にすぎないと思ったから。
それに、彼の怒りの理由もよく解ったんだ。
必死で職場にかけあい、在宅ワークに切り替えてまで守ろうとした相手が、のうのうと深夜に帰宅したんだよ。
強かに酔って。
素面じゃあ、なかなか帰る踏ん切りがつかなくて。
かといって、1人で呑みに行く度胸も金もない。
まぁ、そういう訳で、コンビニで買った缶ビールを道端で数本空けたんだが
彼の一声で酔いがスッカリ覚めて。
なけなしのプライドも何もかも吹き飛んでしまった私は。
その場から全力で逃げた。
ともだちにシェアしよう!