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第5話

どうにかして、早く此処から出なくては。 ひたすら焦る私をよそに、若者はゆったり微笑みつつ、こう言った。 「もっと話してよ。その時のこと」 「悪いが、そろそろ今夜の宿へ向かわなくてはいけない時間でね」 「ふうん。残念だね」 口元だけの笑みを浮かべていた唇がニッとつり上がった 「御礼は良いですよ、先輩」 (先輩…だと?一体誰と話してるんだ?)

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