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繰り返しのうた

あなたはどうして そんなにも冷ややかなのですか あなたはなぜ僕を 廃品であるかのように見るのでしょう 僕を欲し愛したあなたには 欲望しか存在していなかったのでしょうか それとも世間が怖いのでしょうか けれども ほら こんなにも暖かなあなたが 今度は僕を包んでいます 僕を順調に育てるための栄養となるのです 僕を快適な眠りにいざなう 素晴らしい毛布になるのです この深紅をした あなたの熱い流れが あなたの皮膚からはもう 温もりは消えてしまいました あなたにも欠片ほどはあった僕への寛容も ナイフが抉ってしまったでしょう それでも僕は幸せなのです あとはただ 僕を包んでくれたお礼に すっかり愛というものに存在を奪われた血液で 今度はあなたを覆いましょう 暖かいですか? もう僕はあなたにとって 不要物ではなくなりましたか? 流れがお互いの身体からすべて解放されれば 僕らはもう 性別という名のものからも 解放されるのです 男性という名でくくられていた僕らの肉体は しだいに朽ちていくでしょう それとも朽ちるより早く 灰になるかもしれません しかし 僕らの流れはやがて蒸発し 空気に溶け込み 天国へと昇るのです 僕らの恋愛はさらに増幅し 今度は地球を 静かな雨粒で愛するほどに いつまでもいつまでも 愛を循環していくのです ++++++++++++++++++++++ タイトルは内容に関係するのでコレにしたのですが、そもそもあったものをリライトしているのだからダブルミーニングだったのかな、とも思ってみたり。相当昔で覚えてません。 あと、子宮とか羊水を使わずに書こう、という試みだったと思います。 性別がどうとかいう部分がなかったら、不倫カップルの無理心中でも成立してしまいそうだなというのを思いましたが、多分、「僕」を女々しく感じたからというのは多分にあります。 女々しいとか女の腐ったのとかいう言葉って宜しくないんでしょうけど、そうでなかったら無理心中なんかしないと思うの。しかしでも、割合と世間で起こる無理心中で決行されているものは、無理をしてしまうのは男のほうな気がするのだけれども。

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