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消毒液
俺は消毒する
俺の中に芽生えた思いを
拭い去ってしまおう
愛なんて馬鹿げたものだと
君は鼻で笑う
君は金のために身体を開き
俺は欲望のために金を払う
行為は一般的ではなくとも
愛などというものが介在しなければ
いかにも真っ当な日々
欲望を消費するただの一幕
愛は金の前には屈し
欲望は愛よりも強い
どんなに華奢といったって
筋肉でごつりと締まった
見た目は白く滑らかだとはいえ
触った心地もおおざっぱな君の感触
性欲でなければ支配欲
愛は
存在してはいけない
君のその優しげな笑顔も
どこか遠くを見るような潤みを帯びた瞳も
甘えかかったような声も
俺は財布の中身だけで欲しよう
想いを知ったら君は俺を嗤うだろう
享楽的という世間からの評価の枠を外されて
身の置き場所すら失うだろう
俺を日常から引き離そうとする想いを
綺麗に拭ってゴミ箱の中へ
だから君は安心して
金額に見合っただけのサービスを
いつまでも供給してくれ
偽りの愛はいつしか
俺を消毒し尽くしてくれるだろうか
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男娼に本気で恋をした男の片思い、という話。
これまた男の身体云々がなかったら、援交少女と本気になってしまったオッサンでも通用しそうだな、と思ったものでしたが、本気の愛みたいなものを否定したいところから始まる秘めた思いみたいな展開を模索したかったのかもな、と読み返しました。
この頃にはもう、同人誌を作ったりをしておらず、さらに言えばもう、投稿したいという欲望は、送るだけなら誰でもできるけれどもその先を望むことは自分には叶わない、という常識も身についていたのです。
まだこういった創作物を置かせていただけるサイトさんで、なんの審査も選考もなく発表の場を与えていただく、ということもなく、ではあったけれども、話を書きたいという欲望自体は腐女子になるより前から持っていたので、今まで手を出してこなかった展開を書きたいな、ということは、考えてはいるのです。
多分、そういうネタをポエムにしたのだと思います。
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