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Extra edition.3
眠らせてくれないか―――と、何かに埋まる夢を見ながら悟志は思った。
腰の辺りがずっしりと重い。
人が跨がっているような重さだ。
押し退けようと腰を動かそうとしたが、叶わずに余計にぐっと重さが増した。
しかも、右手が何故か上がった状態で動かない。眠りの中で混乱が増す。
そうしている間に、服が捲り上がっているのか、むき出しの腹の辺りを撫でられた。不意打ちに、ビクッと体が跳ねる。
これはおかしい―――と、遅れて気付き、悟志は急速に覚醒した。
―――昨日は、確か彼と飲みに。
「ささは―――、あ?」
佐々原先生―――と言いかけ、悟志が目を開けると、そこには青弥がいた。上にいるのが佐々原でないと分かり、ホッとする。
そう安堵したものの、何故、青弥に跨がられているのか、寝起きの回らない頭では考えがまとまらない。
ポカン―――と、悟志が見上げて固まっていると、青弥が楽しそうに笑う。
「残念、起きちゃった。」
「―――な、にして、」
「あの人だと思った?オレでした~。」
クックッ―――と、青弥が笑う。
らしくない嫌な笑い方だ。
何故、こんな状況か問い質したい気持ちは多大にあるが、青弥の様子のおかしさの方が気にかかる。
「おい、青弥?」
「悟志さんってさ、男でも大丈夫な人なんでしょ。」
まさか気付かれていたとは思わず、悟志は目を見張った。
「品定めされるの慣れてるんだよ。ほら、ホストだから。ちなみに、初対面でオレが『ない』って判断されたのも知ってる。」
「それ、は、」
「まあ、オレだって男とかあり得ないし、対象にならなくて良かった、―――はずだったんだけどね。悟志さんからさ、全く眼中に入ってない事、なんか悔しくなってきたんだよね。」
軽い口調で話しつつも、内容はおかしな方向へ向かっているし、やっている事は理解の範疇を超えている。
悟志がひくりと頬をひきつらせると、腹部で止まっていた青弥の手が、再び怪しい動きを始める。
「あ、おっ―――」
「つーかさ、オレの事、どう思ってるのかな?なつかれたから置いてるだけ?拾った責任?ペットみたいに?」
青弥をペットだと思ってはないのは確かで。
それ以下、ペットとすら認知してないなどと言えず、言葉に詰まる。
「まあ、いいや。」
悟志の上に跨がったまま、青弥が自分のシャツを潔く脱ぎ始めた。ギョッとなり、拘束されいない左手で慌てて、青弥の右腕を掴み制す。
「待て待て待て、青弥。止めておいた方がいい。おまえ、初めてだろう?準備もなしには無理だ。それに、たぶん―――」
「オレじゃ、タたないって?」
悟志の言葉に被せるように、青弥が言う。その通りなのだが、正直に言うのを躊躇った。
そんな悟志を見透かして、クッ―――と、おかしそうに青弥が笑う。
また、らしくない顔をする。
―――何で、そんな顔を。
まるで、泣き出す一歩手前のような顔。
「悟志さんは別に、タたなくてもいいんだよ。」
青弥の言葉を飲み込み、さぁぁっ―――と、悟志は血の気が引いた。
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