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Extra edition.7

(Aoya Side) 頭が痛い―――と、思いながら、山梨青弥は目を覚ました。二日酔いの頭痛だ。 自業自得であるのだが、好きな人と会えない寂しさを忘れるために杯を重ねた結果、昨日はかなり飲みすぎたらしい。 二度寝をしようとしたが、開けた目にぼんやりと写ったその想い人のドアップに、青弥の脳ミソは瞬時に起床した。 「ぬぁっ、―――いっ!?」 すっとんきょうな声を上げて飛び起きるものの、殴られたような痛みが頭に走り、青弥は再びベッドへと崩れ落ちた。 ―――なんで、一緒のベッドに。 恋い焦がれている高木悟志が、何故か隣に寝ているのだ。凶悪な頭痛に襲われている側頭部を頭を押さえながら、ここが悟志の寝室だと気付く。 昨夜の記憶を探るが、店で常連客の相手をしていた時が最後だ。酔っ払ってタガが外れ、悟志の家を奇襲してしまった可能性が高い。 ―――何した、オレ! 互いに服を着ているから、襲った訳ではないのだろう。そこだけは確かであるが、一体どんな失態を犯してしまったのか、思い出しても録な事にならない気がする。 「おはよう。気分はどうだ?」 後ろから聞こえた悟志の声に、ビクッと背筋を正し、青弥は再び頭痛に見舞われた。学習能力のなさに軽くへこむ。 ゆっくり振り返ると、悟志が欠伸をしながら起き上がっていた。 「さ、としさん。」 なんだ?―――と、悟志がゆるりと目元を緩める。 ―――ちょっと、なにその顔!? 見慣れぬ悟志の表情に、ボカンッと頭が破裂しそうになった。 「なんだその顔。」 青弥の顔を見ながら、悟志が呆れたように言う。なんだその顔とは、こっちのセリフだ。 悟志の呆れ顔は普段通りなのに、どこか甘く感じてしまう。 「青弥。次、脱走したら、首輪つけてやるから覚悟しておけよ。」 「―――犬じゃないもん。」 何やら上機嫌な様子の悟志を前に、どういう顔をして良いのか分からない。言ってる事はムチャクチャだが、表情はひどく優しい。 ―――なんで、この人、いきなり変わっちゃってんの。 この前まで、青弥に対してほぼ無関心であったのに、どういう訳だ。落差が凄すぎる。 「『もん』言うな。なんだ、犬が不服か?せっかく可愛がってやろうと思ったのに。」 「可愛がって、」 悟志からヨシヨシと頭を撫でてもらうシーンが頭に浮かび、ちょっと顔がニヤけた。そんな青弥を見て、悟志が甘やかすように笑う。 ずきゅん―――と、心臓を撃ち抜かれた。 どうしよう。悟志の男前に磨きがかかって手を付けられない。 危険すぎる。最早、男前兵器だ。 こんなのを相手にして、青弥が敵うはずはない。 「イイ子にはご褒美やるから、大人しく飼われておけ。」 青弥は真っ赤であろう顔を両手で隠し、はい―――と、消えそうな声で返事をした。

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