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第2話

 迦具土家はその名の通り、炎の神を奉じている。生命力を炎として可視化することができ、当主は炎を移すことで信徒に力を与えたり、逆に炎を操って体力を燃やし尽くすこともできる。 眷属たる蛇に憑かれているというのは、眞言にとっては予想外だった。 『代々の当主様は、強すぎる炎の力があふれてしまい、己を制御できなくなる時があります』  初めて白蛇たちに蹂躙された翌朝、じいやは噛んで含めるように言った。 『その力を分散させるため、御館様は蛇神様に力を吸わせる必要があるのです』  全身を暴かれ、犯された眞言はろくろく息もできず、ただその言葉にうなずくしかなかった。  今に至っても、眞言はこの行為に慣れきってはいない。  眞言の懇願にも、蛇神の眷属たる白蛇たちは責め手を緩めない。襟から伸びた蛇頭が、眞言の口許へ寄った。口を閉じていると、首を絞められしまう。ゆるゆると開いた唇の間に、蛇頭は勢いよく飛び込んだ。 「ぐぅっ……!」  うめく眞言に頓着せず、白蛇は喉奥で口を開け、濃い体液を分泌して注ぐ。食道を粘液が流れ落ちる、なんとも不快な感触に気を取られるのは一瞬のことで、媚薬にも似た粘液はすぐに吸収され、いっぺんに身体が熱くなった。  脚にも白蛇たちがわだかまっている。何匹かは思い思いの場所に巻きつき、何匹かは太腿を這い上って鼠蹊部を通過して、眞言の性感を煽っている。足の爪先をからかう幼体たちも数を増し、陽根を扱うように太い親指を前後し、先端を甘噛みしている。  まだ核心を突かれていないというのに、眞言は敷き布団に倒れ込んだ。 「あっ、あっ……蛇神様……」  袖から入り込んで襟から出てきた蛇たちは、力を合わせて前を開き、たくましい胸板を露出させた。二股に割れた舌が乳首に触れ、眞言は身を反らす。とっくに開発されている。  胃に注がれた粘液の効果もあり、全身を汁まみれにされた眞言はもはや己を律することもできず、膝の間を開いていた。  ぼたり、とひときわ大きな音を立て、最後の白蛇が畳へ降ってきた。  今手足にまとわりついている蛇とは、大きさが違う。張り出した頭骨は亀頭を連想させる。長さは一メートルほどもある。  仰向けに倒れた眞言は、その姿を認めて息を詰めた。そこには恐怖とともに、確実に期待もあった。  この蛇が何のために現れ、何をするか、眞言はよく知っている。  怖い。  だが、気持ちいい。  既にはだけている裾をいよいよ開いて、眞言は己を犯すものへ示した。  数匹の蛇が、眞言の入口へと舌を差し入れてきた。十二日に一度は蛇神へと身を任せている眞言だったが、さすがにいきなり犯されては壊れてしまう。  舌たちが内外の境界を拡げたところへ、幼体の一匹が飛び込んで来る。 「ひっ……!」  声が出てしまう。幼体は前庭に入り込み、思うままに動くことで、眞言に蛇神の感触を思い起こさせる。  幼体に慣れたと思えば、交代に成体が押し入る。明らかに質量が違う。前後することで前立腺をこすられ、与えられる快楽の大きさに身をよじってしまう。  しかし相手は蛇である。生身の相手とは違い、脚に絡みついている蛇からは逃れられない。 「あっ……あぁっ……! たすけ、て、くれ……!」  何に助けを求めているのか、眞言にすらわからない。ただあふれるほど与えられる強引な快楽から逃れたい。  そんな眞言の欲求は叶えられない。  眞言の身体の準備ができれば、己の用は済んだとばかりに成体は退く。その様子をじっと見つめていた大蛇は、しずしずと前進して眞言の脚に絡みついた。  脚を接しただけで、その太さがわかる。これが体内へと入ってきたら、どうなってしまうのか。しかし、これを受け容れても己が壊れはしないことを、既に眞言は知っていた。 「や、いや……だ……」  口から出る言葉とは裏腹に、眞言は抵抗を諦めている。どれほど逃れようとしても白蛇たちに手足を戒められ、大蛇に貫かれてしまうことを、理解しているからだ。ならば、なるべく体力は温存しておいた方がいい。翌日の疲れが違う。  いつも通り、大蛇は尻尾を左の太腿に巻きつかせた。こうすることで、より自在に抽送することができるのだ。  何の合図もなく、大蛇は蛇頭を潜り込ませてきた。雁首のような頭骨が肉襞を拡げ、太さに慣れた眞言は背筋を震えさせる。 「あがっ……!」  白装束はもはや衣服の役目を失い、帯に絡みついているありさまだ。そんな状態で敷き布団に身を任せ、太い蛇神に犯されている眞言を見る者があれば、その淫靡さ、猥褻さに目を奪われてしまうだろう。性欲を刺激され、蛇とともに眞言を辱めたいと思う者もいるかもしれない。

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