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いつまでたっても慣れない案件 3
「営業部長と関西へってことは、新しいお店ですか」
「ああ、取引メインは東京支店になる予定だけど、キーマンが関西支店に居るんだ。明日なら都合が良いと言われて挨拶へ行く事になった。あと二社、関西に支店のある取引先にも顔を出して、ついでに大阪の営業部長とミーティング、という名の飲み会につきあわされる予定だ」
「目まぐるしいスケジュールですね」
「日曜は古い付き合いの店に顔を出して、昼過ぎには大阪を出れると思う」
レタスを口に入れ、シャクシャクと音を立てながら咀嚼していると、三上が思い出したように再び口を開いた。
「明日は一緒にジムへ行く予定だったな。行けなくてごめんな」
「えっそんな全然。天野さんの水泳教室も予約してるし、一人で行ってきます」
三上は何か言いかけて、数秒の間を置いてから「そうか」と一言口にした後、グラスビールを一口で空にした。
◇◇◇
明かりを消してベッドへ入ってすぐに「結音」と名前を呼ばれ、三上の傍へとにじり寄ればぎゅうと抱きしめられた。唇が重なり、触れるだけのキスを二度繰り返し、今度は優しく抱きしめられる。頭頂部に三上の顎が当たっているのを感じながら、宮部は三上の胸に額を摺りつけた。
「日曜日、俺が帰宅する頃には家に居て欲しい」
頭上から聞こえてきた三上の言葉に、宮部は少々驚いた。珍しく弱気な声色で、どうしたのかと心配になる。やっぱりここ最近ずっと忙しくて、精神的にも疲れが出ているのかもしれない。
「日曜日は一日家にいます。夜ご飯、何か食べたいものを思いついたら連絡くださいね」
自分に出来る事で三上の疲れを少しでも和らげたらと思い口にすると、頭上から微かな声で「うん」と返事が聞こえた。ホッと息を吐いたのもつかの間、その直後に心臓がドカンと爆発した。
「日曜、帰ったらすぐに宮部とセックスする」
さらりと呟かれ、喉がひゅっと鳴る。心臓がバクバクと音を立てて止まらない。
(え、えっ、家に居てって、え、そういう事??)
そんなあからさまに肉食な発言をされて、どう返答するのが正しいのかわからない。帰ったらすぐって、午後には帰ってくると言っていたような。
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