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いつまでたっても慣れない案件 26

「三上さん、おかえりなさい」 「ただいま」  心なしか、三上の表情がいつも以上に柔らかく見える。目尻をさげ、ほんの少し口角を引き上げて自分を見つめる三上にドキドキする。たった一日ぶりというだけなのに、会いたくて堪らなかったから、自分に都合良くそう見えるのかもしれない。 「寝室もリビングも窓全開にして、こんなところで転がってるから驚いたぞ。真夏じゃないんだから、風邪を引くだろう」 「す、すみません、うっかり寝ちゃって……あ、カーテンを洗ったので、窓を開けて乾かしてたんですけど、もう乾いてるかな……あ、乾いてる、良かった」  レースカーテンに触れて乾いている事を確認し、満足したところで三上の両腕に身体ごと抱き寄せされた。耳元でありがとうと囁かれ、柔らかな唇が重なる。三上に喜んで貰えた事が嬉しくて、宮部は三上の背中にそっと腕をまわし、寄り添うように身体を預けた。三上の身体は大きくて温かくて、心地好い。  ゆったりとした動きでお互いの上唇と下唇を食むように、重ねるだけのキスを繰り返す。それは甘くて優しくて、宮部は瞳を閉じ身を任せた。 「身体が冷えてる」  低い声で呟かれ両目を開ければ、眉間にしわを寄せた三上にジトリと見つめられた。三上の両手に両頬を包まれ、自分の肌が冷えていると改めて気付かされる。 「す、すみません、気を付けます」 「昼寝をするならベッドかせめてソファにしておけ。昼飯を食べて眠くなったのか」 「ええと……食べる前に寝落ちてしまったというか……、それより三上さん、予定より早い帰宅でしたね」  気まずさから話題を逸らすと、三上は「ああ、予定より一時間早い列車に乗れたんだ。部長は大阪で昼飯を取りたかったようだけど、急かして帰ってきた」といって笑った。  上司を急かすなんて、大丈夫だったのだろうかと少々心配に思いながら、ということは三上は昼食をとっていないのではと気付く。 「三上さん、お昼とってないんですか? 何か作りましょうか」 「ああ、でもその前に宮部を摂取する」 「え、せっしゅ……?」

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