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第4話

翌日、ハルは学校にこなかった。 不安になって「今日来なかったけど、どうしたの?」ってメッセージを送ってみても返ってこない。 まあハルが休むことなんていつもの事だから、いつもと同じだろと言われちゃそうなんだけど。 「陽和?元気ないな」 「あ···ちょっとね」 「浅羽がいないから?」 同じ高校で同じクラスの尾田くんがそう聞いてくる。 「まあ、うん」 「お前って本当浅羽と仲良いよな」 どうでもいいけど俺の通うこの高校は所謂不良校だ。今こうして話している尾田くんも金髪に赤のメッシュを入れていて、規定のものでは無い服を着ている。 「そもそも何で陽和みたいなのがここにいて浅羽と仲良いのかが不思議だわ」 「そう?ハルは優しいし普通の人だし、ほら、尾田くんだって見た目はそうでも中身は優しいじゃん」 「見た目はとか言うなよ」 「ごめんごめん」 ケラケラ笑った尾田くん。 突然俺の手を掴んで「クーラーあるとこ行こうぜ」と言い手を引っ張る。 「理科室?」 「いや、保健室」 「あー、ベッドもあるし寝れるもんね」 「そうそう!」 尾田くんに連れられるまま保健室に行く。 先生は基本職員室にいるからここはもう自由解放みたいになっている。 「あー!涼しー!」 そう言いながらベッドに寝転ぶと隣に尾田くんが座る。 「陽和は浅羽の事大好きだよな」 「え···?うん。好きだよ、普通に」 「俺は?」 「好き、だけど···?」 不思議なことを聞いてくる尾田くん。 何が楽しいのか笑顔だ。 「陽和」 「何···?」 寝転ぶ俺の上に尾田くんが軽く覆い被さる。 「キスしていい?」 「・・・は?」 「ていうかする」 そう言って俺の腕をベッドに押さえ付けて顔を近づけてくる。 「ちょ、待って!待って尾田くん!」 「待たない」 「待っ···んぅっ···!」 唇が合わさって、少しして離れる。 体がカチコチに固まって動けない。 「可愛い」 「···な、何で···?」 「何でって···好きだから」 「お、俺の好きと、尾田くんの好きは違うよ」 「でもいつか同じになるかもしれないだろ」 そう言ってまた顔が近付く。 嫌だ、もうキスされたくない。 だって俺の好きな人はハルなんだもん。 「やだっ!やめろ!離してっ!」 「うるさいな」 「嫌だっ、助けてっ!」 バタバタと動くと「静かにしろ!」って頬を殴られる。驚いて体は動かなくなったし、痛みでじわっと涙が出てきて目尻から零れていく。 「助けて···ハル···っ」 我慢するしかないのかって、せめて現実から目を背けたくて、そっと目を閉じた。

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