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第7話
「どうしたのその頬!」
「喧嘩しちゃって···」
家に帰ると母さんが俺の顔を見て驚いていた。何があったかなんて言えるはずがなく、適当なことを言って、母さんに笑いかけると「それで帰ってきたの?」と心配そうに聞かれる。
「うん、ごめんね。」
「いいけど…あまり喧嘩はしちゃダメよ」
「うん」
そのまま部屋に帰って服を着替え、手を洗いベッドに飛び込む。
今でもキスをされ感触が残っていて気持ち悪い。
出来ることならあのままハルにキスしてもらいたかったなぁ。とか、気持ち悪いことを考えちゃう自分に嫌になる。
「···ああもう」
何だろう。多分、不安とか今日のショックとかで涙が勝手に溢れ出てくる。
手の甲で涙を拭う。
ハルが好き。どうしょうもなく、好き。
でも気持ちを伝えることは出来なくて、気持ち悪いって笑われるのが怖くて、もう二度と話せなくなったらって思うと悲しくて。
「···明日、行きたくないなぁ」
さっきまで明日もハルに会えることが嬉しかったのに、憂鬱な気持ちに心が押しつぶされそうになった。
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