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第10話

唇が離れて数秒、ハルが離れていって、その表情がやってしまった!と焦っているものだと思った俺は、今度は自分からハルにキスをする。 「俺も好き」 「···ひ、よ」 「嘘かと思うかもしれないけど、俺もね、ずっと好きだったんだよ」 「え···」 「中学の時から、好きだったんだよ。だから、ハルを追いかけて、ここにきた」 至近距離で見つめ合う。 「本当は、ハルの家が極道って事、とっくの昔に知ってたしね」 「···じゃあ、何で」 「だって、俺の本気、伝わって欲しかったから」 やっと本当のことを伝えられる。 鼻の奥がツンとした。 「ねえ、俺の彼氏になってくれるんだよね?」 「···ああ」 「じゃあ、彼氏さん、もう一回キスして」 強がって笑ってそう言うと、頬に手を添えられ、そのままキスをする。 それが嬉しくて、俺もハルも見つめあって笑う。 すごく幸せで、暖かくて、今までの人生で一番充実した時間だと思った。 高校生編 END

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