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第11話 大学生編 晴臣side

高校を留年することなく無事に卒業してから、俺は実家の仕事をしている。うちの家は自営業で結構融通が利くし、割といい職場だとは思う。ああでも、命の保証はない。 「なあおい、いい加減質問に答えろ」 血生臭い地下部屋で椅子に拘束されグッタリとしている男を殴りつけるのは俺の部下の八田光(ヤタヒカル) 殴りつけているのも俺の命令だから、実質俺がそうしているようなものだ。 「爪でも剥げよ」 「ひっっ!や、やめて、くれっ」 俺の言葉に怯えたそいつは殴られすぎて変形してる顔を上げ充血した目で俺を見た。 「ならさっさと答えろ、何でうちの事を嗅ぎ回ってたんだ」 「···た、頼まれ、たんだっ!名前は、知らない、変な男に…!」 「その男の特徴は」 「···で、かくて···か、髪が、金髪、で···」 「···八田、解いてやれ」 正直それだけの情報じゃ誰なのかはわからねえけど、きっとこれ以上やってもこいつからは何も聞き出せない。 歯をカチカチ鳴らせて、相当怯えている様子のそいつは拘束を解いてやったというのに逃げようともしない、勝手に動けば殺されるとでも思っているのだろう。 「もう痛めつけたりはしない、大人しくここにいろ」 「···い、家に、帰して、くれませんかっ」 「まだ無理だ」 そいつをその部屋に一人置いて地下から地上に上がる。太陽の光がずっと暗い所にいたから眩しすぎて眼を細めた。 「八田、付き合わせて悪かったな」 「いえ」 とりあえずさっき聞き出せた情報のことは八田に任せ、俺は一度部屋に帰ることにして、長い廊下を歩く。 ああ、いうのを忘れていたけれど、俺はここら一帯を統べている浅羽組の若頭をしている 浅羽晴臣(アサバハルオミ)。俺の親父が組長で、全国から見てもまあまあな地位にいると思う。 なぜだかひどく疲れているような気がして足早に部屋に戻ると中には人影が。 「ハル!」 「陽和、来てたのか」 「来てたのかじゃないよ、何でこんなに部屋が汚いの」 そう言って俺を睨みつけた白石陽和(シライシヒヨリ)、正真正銘、俺の恋人だ。 「学校は」 「午後からあるんだ、だから久しぶりにハルの顔が見たくなって···ねえ、今仕事してきたの···?」 「何でそう思う」 「···顔が怖いから。ねえハル、こっち来て」 陽和に言われて側によれば頰を両手で挟まれ、そのままキスをされた。 「学校ね、午後からって言ったでしょ、あれ、休むこともできるの」 「······すげえヤラシイ誘い方だなぁ」 「俺にしては上手な誘い方でしょ?」 陽和を抱きしめて俺からもキスをする。 舌を絡めて上顎を撫で、軽く舌を吸うと力が抜けたのかフッと陽和が俺に凭れてきた。 「ベッド行くか」 「うん」 陽和を支えながらダブルサイズのベッドに急ぐように移動した。

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