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第19話

「ねえ若、どこまで行きます〜?」 「お前に任せる」 久しぶりに助手席に座った。 鳥居の運転は比較的にゆったりしているから落ち着ける。 「そう言えば会合があるならなかなか恋人さんにも会えないんじゃないんですか〜?」 「その連絡は昨日のうちに入れたんだ、あいつが納得してるかどうから知らねえけどな」 「まあ、それに納得してくれないようじゃ若の恋人の器じゃないですよ」 「いや、···あいつが悪いわけじゃないんだ」 「···若は高校を卒業してから変わりましたねぇ〜」 それはいい意味なのか悪い意味なのか分からなかったから、とりあえずその言葉は軽くスルーした。 運悪く長い間信号が変わらないところで赤信号に変わり止められる。 「アレェ、あの子、若の恋人さんじゃないですかぁ〜?」 「あ?」 「ほら、あの···わぁ、若、見ないほうがいいです」 鳥居がそんなこと言うもんだから、余計に見たくなってそっちの方に顔を向けると陽和がいた。けれどその両隣には派手な女が2人。 「···若?」 「今思ってること言っていいか」 「悪いことならやめてくださいね」 「···陽和をうちの地下室で監禁してやりてぇ」 「若の部屋ならわかりますけど、なんで地下室?」 「俺に助けを求めてくる陽和が見たい」 「···大分お疲れですねぇ。でも、どうします?命令してくれたら俺は今すぐあの女も殺せるし、若の恋人をここに連れてくることもできますよ〜?」 鳥居がいかにも楽しそうにそんなことを言うから、それが悪いことではないと勘違いを起こしそうになる。 「いや···ああくそ、腹立つな···」 「タバコいります〜?」 「いる」 鳥居がポケットから出したタバコをくれて一本口に咥え窓を開け、火をつけて煙を吐いた。 「あ、」 「何だよ」 「キスしてますよねぇ、あれ」 「···そうみたいだな」 「ヒャー!破廉恥ぃ···公衆の面前で凄いですねぇ」 「あの女共、ぶっ殺してぇ···」 だんだんと溢れてくるイラつきは止まることなく、フゥー···と息を吐いてみる。 「あ、青だ」 後ろからクラクションを鳴らされて鳥居が信号が変わったことに気づきアクセルを踏んだ。

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