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第20話

結局はそんな遠いところには行かず、近い距離をぐるりと一周をして帰ってきた。残念なことに今回のこと外出で得たものは苛立ちのみ。 「若ぁ···そんな怒らないでくださいよぉ」 「お前には怒ってねえよ」 車を降りてググッと伸びをすると「若!!」と声をかけられて声がした方を向くと早河が血相を変えて俺の方に走ってくる。 「何だよ、どうした?」 「また新たに同盟の組に···」 「チッ」 うちと同じ状況になって、新しく人を何人か拘束したようだ。報告を聞いてるとそいつらから新たな情報が得られたとか。 「まだ噂程度ですが、潰したいのは浅羽組ではなくて、若だと···」 「···上等だな。」 「どうされますか」 「とりあえず、会合を終えてから考える。」 俺を狙ってくるのなら俺個人に何か恨みがあるのだろうか。···でもそうなってくると俺だけでなく、俺と関わりを持っている奴らも危なくなる。 「···陽和」 「え?」 「陽和に護衛をつけてくれ。本人にはバレないように」 「わかりました。」 陽和の護衛の件に関しては早河に任せて、部屋に帰りソファーに深く腰掛ける。すぐに世那がやってきてコーヒーを入れて俺の前に置いた。 「あの、これ」 「あ?」 「今度の会合の資料です。早河さんと鳥居さんと、俺もついて行きます」 「ああ、頼んだ」 参加する同盟の組とそれぞれの頭と若頭の名前を書いた資料を受け取りながら小さく笑ってそう言うと世那は嬉しそうに笑って「俺、頑張りますね」と言う。 「そういえばお前は初めてだもんな。あんまり緊張しなくていいからな」 「はい」 「まあ、そう言われても···っていうのはわかる。」 苦笑を零した世那に「この資料に書いてある名前くらいは覚えとけよ」と言えば勢いよく頷いた。
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