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第21話 陽和side
最近、ハルがずっと不機嫌だ。
高校を卒業して、俺は薬剤師になりたくて6年生の薬学科のある大学になんとか合格し、このまま順調に行けば無事に今年卒業できる。
俺は去年から忙しくなってきてたからなかなかハルに会いに行くことができなかったけど、それでもハルの忙しさは俺の比じゃない。極道の若頭として一生懸命に考えて、働いてるのを知ってる。
最近は危ないことが起こってるらしくて、予定していた沖縄旅行も延期になってしまった。
それは仕方のないことだけど、やっぱりショックだ。
「陽和くーん!」
「わっ!」
そして今日も俺は大学にやってきて講義を受けようと教室に向かっていると背中に衝撃が走って驚いた。
「おはよう!」
「うん、おはよう」
派手目な女の子の夏海 紗雪(ナツミサユキ)ちゃん、明るい髪が太陽を反射して眩しい。昨日は仲のいいメンバーで飲みに行ってたんだけど、それになぜかこの子がついてきて、酔っ払った紗雪ちゃんが俺の携帯を勝手にとってハルに余計なことを言うものだから、俺は今この子に対してすごく腹が立ってるんだけど、今更怒ったって仕方ない。
「ねえねえ、今日の何限まであるの?」
「今日は2限だよ」
「本当!?私も2限だけなの!ねえ、お昼一緒に食べに行かない?」
「ごめん、俺ちょっと用事があって···」
「···確か、前も用事って言ってたよね?彼女?」
「うん」
相手は女の子じゃないし、むしろ俺が女の子の方なんだけど。
「いいじゃん!最近陽和くん不機嫌な時あるし、その子のせいなんでしょ?」
「違うよ」
「嘘!絶対そうだもん!ねえ、今日くらいいいじゃん!」
「···しつこいよ」
「だから、今日付き合ってくれたらもう誘わないから!」
うーん、と悩んで今後こういうのがないなら···と「わかった」と頷いた。
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