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第22話

「ねえ!紗雪とお昼行くって本当!?」 「え」 2時限目が終わった後、紗雪ちゃんと仲の良い女の子が俺のところにやってきて詰め寄ってくる。 「私とは無理って言ったのに!!」 「ちょっと、説明させてくれないかな」 「やだ!私とも行ってよ!」 「···なら紗雪ちゃんに許可をもらって」 ろくに話も聞かない女の子にイラっとしながらそう言うと嬉しそうに笑ってその場で電話をかけ出した。 「お願い!お願いお願い!!」 俺の隣でそう言って電話で話してる女の子、申し訳ないけどこの子の名前は思い出せない。 「本当!?ありがとう!!」 話はついたらしく笑顔で俺に向かって「私も行く!」と俺の手を掴む。 「ねえ!どこに行く?」 「任せるよ」 チラチラと頭の中に浮かぶハルの顔。 ───ああ、やっぱり会いに行きたい。 「行こう?」 「うん」 手を掴まれたまま、連れて行かれて紗雪ちゃんとも合致する。 「じゃあ私たちがよく行ってるカフェに行こう!」 「あそこご飯美味しいもんねー!」 「陽和くんは何が好きなのー?」 話しかけてくる女の子に愛想笑いを返す。 しばらくしてカフェについて中に入りご飯を頼む。 それからしばらく話をして、ご飯を食べ終え、店を出る、その時 「ねえ陽和くん!!」 「何?───っ!?」 「わー!陽和くんとキスしちゃった!」 「やめろよ!!」 何故か最悪なオマケを貰ってしまった。 そこで2人とは別れて唇を乱暴に拭きながら家に帰る。 汚い、汚い! こういうことは、ハルとだけなのに。 高校の頃の嫌な思い出が蘇って、ズン、と心が重たくなったような気がした。

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