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第23話

────最近誰かに尾けられてるような気がする。 女の子2人とご飯に行ってから1週間が過ぎた時にそう思った。 こういう時、すぐに誰かに相談するべきなんだろうけど、大学入学と同時に一人暮らしを始めて、頼れる人はハルくらいで、そのハルすら最近は忙しくてなかなか連絡も取れない。 怖くて怖くてたまらない。 夜道を歩いて何度か立ち止まるけど、そうすると俺を尾けている人の足音も止む。だめだ、怖い。 微かに震える手で携帯をとってハルに電話をかける。出てくれるかはわからないけど、ただ助けて欲しいと思った。 「はい」 「ハルっ!」 長いコール音の後、電話に出てくれたハルはやっぱり不機嫌そうだ。でも、それでも今は怖くて切羽詰まったような声しかでない。 「だ、誰かに、尾けられてる、みたいでっ」 「尾けられてる?···この電話切るんじゃねえぞ···おい世那!うちの奴らは今どこ回ってんだ。」 通話口の向こうでハルが話をしている。俺はそれを聞きながら何故か溢れてくる涙を手の甲で拭った。 「陽和、走れるか?」 「う、ん」 「よし、今どこだ」 「い、今は、えっと···、えっとっ」 「落ち着け、大丈夫だから」 ハルの声が優しくなる。 深呼吸をして今いる場所を伝えると「すぐにうちのを向かわせる、その近くにある○○公園まで走れ」と強い声で言われた。 「───近くにいるのは鳥居か···今すぐ○○公園に行くように言え」 向こうの人に指示を出しているハルは威圧的で、俺の前では絶対に見せないような態度だ。そりゃそうだ、だってハルは極道の若頭で、今は部下と話をしているのだから。 「陽和、走れ」 「う、ん」 いつの間にか震えている足を踏ん張って指示された公園まで走る。俺を尾けてる人も一緒に走り出して、より一層恐怖は増した。
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