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第24話
何度も足がもつれそうになって、それでも走り続けて、着いた公園。街灯が赤い髪をした人とその横にある黒い車を照らしていた。
その人と目が会うと「こっち来て」って言われて慌ててその人のところに行く。
「白石陽和くんだよね?」
「あ、は、はい」
「怪我は?」
「ない、です···」
その人は俺を鋭い目で見てから「頑張ったね」と軽く頭を撫でられて、それから横にあった車に乗るように指示をされた。
「君を尾けてたやつの顔を見ておこうと思ったんだけど···それどころじゃないみたいだからね」
赤髪のその人は俺に同情をするような目を向けて、「もう大丈夫だよ」と運転席に乗り込みアクセルを踏む。すごいスピードだ。
「震えてるし、顔、真っ青だね?」
「············」
「一応、若は君に護衛をつけてたみたいだけど、そいつはやられちまったみたいだしぃ···ちょっと本格的にやばいかなぁ」
ハルが俺に護衛をつけてくれていたっていうのも気になったけど、それよりも気になったのは"本格的にやばい"っていう言葉。
「や、ばいって、どういう···」
「うん?これは死人が出るかもなって」
「死人···」
「そう、抗争が起きるだろうからね。ああ、忘れてた!俺の名前は鳥居っていうんだよ、一応浅羽組の幹部補佐···って言ってもわからないよねぇ」
「···すみません」
「いや、謝ることじゃないから。ほら、着いたよ」
何度か来たことのある門を車ごと潜り、中で車から降りると強面の男の人が「鳥居」と鳥居さんの名前を呼んでそれから俺をチラッと見た。
「尾けていたやつの顔は見たか」
「見てないですー、何せこの子の顔色がそりゃあもう真っ青だったので。」
「そうか。···とりあえず、この人を連れて若のところに報告に行け。」
「はーい」
行こう、と腕を掴まれてハルの部屋に連れて行かれる。
強面の人は車を直すように他の人に指示を出していた。さっき鳥居さんも敬語を使っていたし、ここの中では偉い人なんだろう。いつもここに来た時は世那さんのしか話さないからあまりここの人間関係図が見えない。
「若、鳥居です」
そんなことを思っている間にハルの部屋の前について、ドアを開けた。
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