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第25話
「陽和!」
ソファーに座っていたハルが立ち上がって俺を強く抱きしめる。それで一気に安心して、体から力が抜けて涙が溢れてきた。
「鳥居、悪い、報告は後でいい」
「はーい!じゃあまた後で···いや、明日のほうがいいですかねぇ」
「俺からお前のところに行く」
失礼しました〜と言って部屋を出て行った鳥居さん。
ハルの肩に顔を埋めて泣いてると髪を撫でられてそのまま体を抱き上げられソファーに座らされる。
「怖かったな」
「っ、うぅ···」
「怪我はねえか···?」
「ん、っ、ないっ」
ハルに抱きつくとほんのり香るタバコの匂い。
背中をポンポンと撫でられて、次第に涙は止まってくる。
「今日はもうここにいろ」
「···は、る···ハルっ」
「ああ、もう大丈夫だから」
未だに手の震えが止まらない。
そんな俺の手を取ったハルは優しく笑って「俺が守ってやるから」と優しくキスをしてくれた。
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