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第28話

次の日は体がだるくて動くのが億劫で大学は休むことにした。俺は休んでるけど、その間もハルは仕事をしなくちゃいけない。 さっきから部屋には何回も人がやってきて、ハルと話をしては出て行き···を繰り返す。 「若、親父が呼んでます」 「わかった。世那はここで陽和のこと見ておいてくれ。」 「はい」 ハルが部屋から出て行って、その代わりに世那さんが部屋の中に入ってきた。ギリギリ俺が見えないところで世那さんはいるらしい、ここからは確認できない。 体勢がしんどくなって、ゆっくりと寝返りを打つ。 けど予想してなかった痛みが走って「痛っ!」と思わず声が出た。 腰をさすってると「どうかしましたか」と世那さんの声がすぐ側で聞こえた。 「あ、えっと、なんでもない、です」 「腰が痛むなら押さえましょうか」 「大丈夫ですっ」 それは丁重にお断りして、体勢を直し息を吐く。 「君は昨日危ない目にあったって聞いたけど、それはきっとこれから先ずっと続くよ。それでも若といたいと思う?」 「···なんで、そんなこと聞くんですか」 「意地悪をしたいわけじゃないんだ、ただ、君の身が危なくなるんだよ。現に昨日君は下手をしたら殺されていたかもしれない」 そう言われると怖くて体が一気に冷たくなったような気がする。 「それでも若と一緒にいたいなら、俺のこの言葉ぐらいで怯えてちゃダメだ」 「············」 「俺も、昔は君みたいに言葉1つに怯えていたんだ。金がなくて、悪い奴らに雇ってもらって、ここの情報を盗み取ろうとした」 「えっ」 「それでここの人に捕まって、いっぱい拷問を受けたんだよ、でも理由を話せばここの人は助けてくれた。だから少しでも強くなって、ここの人に、親父や、若や···幹部の皆さんにお礼をしたいんだ。だから···家族に危険が及ばないように俺は家を出て、今はもう縁を切ってる」 儚げに笑った世那さん。 家族と縁を切ってでもここにいたいらしい。果たして俺にそれができるか?と聞かれると今はまだ無理だ。 「君に俺みたいに家族と縁を切れ、なんて言わない。けど、それくらい覚悟を決めて欲しいんだ。それが無理なら早いこと若と離れるべきだと思う」 「······俺、は」 言葉に詰まってると部屋のドアが開いた。どうやらハルが帰ってきたみたいだ。世那さんはすぐにハルの前に行ってしまった。 「世那ありがとな」 「いえ。若、少しは陽和さんに気を使ってあげてください。腰、痛めてますよ」 「今日は仕方ねえだろ。昨日はお仕置きだったんだからな」 「···内容は知りませんけど、労わってあげないと、嫌われますよ」 「···それは困る」 ハルが近づいてきて「どうしたらいい」と真顔で聞いてくるもんだから、さっきのことなんか忘れて、思わずクスッと笑みが漏れた。
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