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第40話
「例えば、力の強さでしょ?それから精神的な強さに、人を支えてあげる強さに···考えたらきりがないくらい、私はたくさんあると思ってるの」
ハルのお母さんにそう言われて、けれどよくわからなくて何も返事ができない。
「だって、多分、あなたの言う強さはここの組員のように力が強いとか、そういうものでしょう?私はここの姐ではあるけど、そんな強さは持ってないの。強さの種類がそれだけというなら、私は弱いわね」
「あなたは、強いじゃないですか。だから皆さんから信頼されてる」
「違うわ。強いから信頼されているのじゃなくて、信頼されているから強いのよ」
ふふっと笑ったハルのお母さん。
その意味がわからないで悩んでいると部屋のドアが開いてハルが入ってきた。
「あ?何やってんだ」
「晴臣!ちょっと話があるの!」
「何だよ」
「これとこれ、どっちがいいかしら」
「そんなの親父に聞けよ···」
「嫌よ!あなたの意見も聞かせてちょうだい!」
携帯を出してハルに画面を見せるハルのお母さん。
面倒そうにしながらも「こっち」と指差したハルは「出てけ」とハルのお母さんを部屋から追い出した。
「お袋と何の話ししてたんだ」
「···強くなりたいなって」
「ああ、なるほど」
さほど興味は湧かなかったのか俺の隣に座って「鳥居と話してきた」と言う。
「うん」
「お前があとで話に行くんだろ?」
「そのつもり」
ならまあいいや。とグッと伸びをして、俺の方を振り返る。
「そういえば体はもう大丈夫なのかよ」
「大丈夫。明日はちゃんと大学行くね」
「ああ?てことはつまり···今日はもうセックスはお預けか」
恥ずかし気も無くそんなこと言うから、逆に俺が恥ずかしくなっちゃう。
「······一回だけなら」
「一回で足りるかよ」
そう言ってククッと笑ったハルがそっと俺に近づいてキスをしてくる。いつの間にかそれは激しくなって体の力が抜けてハルにもたれ掛かってしまう。
「可愛いな、お前」
「は、ぁ···」
「今からなら明日に響かねえかな」
「今からでも多分、違和感は残るんだけど」
「···だめか?」
滅多にない甘えた様な目が俺を見る。
ああだめだ、これは流されちゃう。
「···い、いよ」
ニヤッと笑ったハルは俺をソファーに押し倒し首筋を熱い舌で舐めあげた。
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