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第46話

お昼になってラウンジにいると人がいっぱい流れ込んでくる。この時間は別のところにいようと荷物を鞄に入れてると「ねえ!」と俺の肩をトントンと後ろから叩いてくる誰か。 振り返れば見たことのあるような無いような、そんな人が立っていた。 「白石陽和くんだよね、俺は中野龍樹(ナカノタツキ)!」 「よ、よろしく···?」 人懐こそうな中野くんが俺の前にあった空いていた席に座る。 「俺、さっきの講義出てたんだけど、始まる前に女子と何か揉めてたじゃん?そのせいで出られなかったの勿体無いなぁと思ってプリントだけもらっておいたよ」 「え!ありがとう!」 中野くんがくれたプリントを一通り目を通して見て、本当に助かったと思った。これがなかったら次の講義がわからないだろうから。 「陽和くんって呼んでいいかな?俺のことは龍樹でいいから」 「うん」 ラウンジを出ようと思ったけど龍樹くんはここでご飯を食べるみたいだし、そんなタイミングに何処かに行くなんて空気の読めない奴だと思われかねないから、そんなの嫌でそこに座っておくことにした。 「今日の登校、派手だったね」 「············」 「送ってくれた人友達なの?」 「···うん」 「あれ、何その間」 「あんまりその話したくなくて」 そう言って顔を逸らすと「ああ、悪い」と謝られて、慌てて俺も謝った。だって悪いのは龍樹くんじゃない。 「このプリントありがとう、今度何か奢るよ」 「いや、そんなのいらねえから。」 大袈裟だな、と笑う龍樹くんに感謝しか感じない。 そうして話をしていると携帯が震えだして確認をすればハルからの電話だった。 「ごめん!電話だから行くね!」 「おう!」 龍樹くんと離れて人気のない場所に行き「はい」と慌てて電話に出た。

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