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第47話
「陽和」
「うん、どうしたの?」
「いや、最近ずっと一緒にいたから寂しくなって」
「仕事は···?」
「終わった。今ちょうど会合の準備も終えてな。」
「いつ行くんだっけ」
「来週だ」
会合に行ったら3日は帰ってこれないらしい。
なのに、たった数時間離れただけなのに、寂しいなんて言ってて大丈夫なのだろうか。
「俺がいない間もお前は家にいろよ」
「うん。」
「まあ、後はお前が帰ってきてから話すよ」
仕事関係の話はやめにして、その後少し沈黙が走る。けど「陽和」と俺の名前を呼ぶハルにその沈黙は破られた。
「俺、3日もお前と離れて我慢できる気がしねえよ」
「···俺も、そう思う」
「好き過ぎるのも困るな」
「ふふっ、でも、俺は嬉しいよ」
今すぐにでもハルにあってキスしたい。
キスをしてなかなか言えない大好きって言葉を伝えたい。
「じゃあ、後で迎えに行くから」
「うん、待ってる」
特に用事があるわけでもないのにこうして電話をするっていうのが嬉しい。
最近はそういうこと、本当になかったから。
「はぁ···」
電話を切って、息を吐く。
午後からの講義はちゃんと出よう。
ハルのおかげで少しだけ元気が出た。
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