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第53話

約束した20分前に組を出て、甘いものが食べたくなったからドーナツを何個か買ってから陽和の大学に向かう。 校舎の前に車をつけて、ドーナツをムシャムシャと食べていたら陽和が校舎から出てこっちにやってきた。 ────···なぜか、二人の女と一人の男を連れて。 「おい早河、ちょっと聞きたいんだが」 「はい」 「あいつらは陽和の友達か?それとも陽和をそういう目で見てるやつらか?」 「···俺には判断しかねます」 「あ、確かにお前はそういうところ疎いもんな」 「すみません」 命あたりに聞けば間違いなかったんだろうけど、まあ仕方ない。そんな話をしてるとメッセージの通知が来て、携帯を取り出し確認をすると陽和からだった。 「ごめんなさい、友達に捕まっちゃった。だってよ」 「俺が連れてきましょうか」 「いい、俺が行く」 食べかけのドーナツを口の中に突っ込み飲み込んで、ドーナツと一緒に買っていたコーヒーを飲んでから車を降りる。陽和は俺に気付いて申し訳なさそうな顔をする。そしてそんな陽和の隣にいた二人の女と男も俺に気づいてへらへらと笑った。 「陽和、行くぞ」 「うん」 陽和に声をかけ手招きをして呼ぶと何故か他の3人も近づいてくる。 「陽和くん!この人、紹介してよ!」 「···やだ」 「何でぇ?あ!ねえ、あなた陽和くんの友達なんでしょ?これから一緒にご飯でも行こうよ!」 一人の女が俺の腕に腕を絡めてくる。その光景を見て陽和が顔を歪め俺をギロッと睨んでくる。ちょっと待て、今のは俺は悪くない。 「怒るなよ」 「怒ってないし。ご飯行くの?」 「行かねえよ、俺は今からやらなきゃいけないことがある」 女の腕をやんわりと離させて、陽和の腕を掴む。 「行くぞ」 「───なあ、おい、ちょっと待てよ!」 「あ?」 陽和の腕を引こうとすると男が間に入ってきて俺を睨みつけた。いい度胸をしてやがる。 「俺たちは陽和とこれから遊ぶ約束をしてんだよ」 「え、してないけど」 キョトンという効果音が聞こえてきそうなくらいの反応を見せた陽和に思わず笑えてくる。 「してねえってよ」 「したし!俺はした!」 陽和の肩を掴み「なあ!!」と激しく揺らす男にだんだんと腹が立ってくる。 「なあ、おい」 「あ?何だよ」 「陽和はなぁ、しつこい奴が大嫌いなんだよ。それも、テメェらみたいなな」 「はあ!?」 顔を赤くして怒り出したそいつ。ついでに女の方も怒り出して、けれど陽和は全く気にしてない、ほら、お前ら興味すら持たれてないぞ。

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