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第54話

今にも殴ってきそうな男が面倒臭い。 けれどここで殴り合いでもしたら確実に陽和に迷惑がかかる。 「じゃあな」 「あ、ハル!」 そいつらを無視して陽和の腕を掴み早河の待つ車までの距離を歩く。残っているドーナツは全部陽和にやろう。甘いものが好きな陽和ならきっと喜んでくれるだろう。 「待てっ!」 後ろから声が聞こえてくる、ああもう面倒だ。 「しつこいなぁ···」 一歩後ろで陽和がそう呟く。 心を許した人にはふんわりとした優しい姿を見せる陽和だけれど、そうでない奴や嫌いな相手に対しては頗る口も悪くなるし態度も悪くなる陽和。 そういう時、陽和は怒らせたら面倒だから、すぐに車に押し込んでドーナツを渡した。 「甘いの好きだろ」 「わ、ドーナツだ!ありがとう!」 陽和の機嫌はなおったようで、ドーナツに感謝した。 車の中でドーナツを食べて、組に帰ってきてすぐ、陽和とキスを繰り返してベッドに押し倒す。 「これ、3日もたねえな」 「どうする?大人の玩具でも買ってくる?」 「それで抜けって?そんなの無理だろ」 「まあ俺も、玩具使えって言われても無理」 陽和の着ていた上の服を脱がせて身体中にキスを落とす。 乳首にも唇を寄せると「ひゃっ!」と甘い声を出した。 「乳首好きだよな、お前」 「あ、だって···ハルが、いっぱい、触るから···っ」 「そうだな、俺がこんな厭らしい体にしたんだもんな」 「あ、ンっ!」 そっとズボンの上から軽く勃ってる陽和のモノに触れる。 目を閉じてビクビクと震え、刺激に耐える陽和に加虐心に似た感情が芽生えて、その日は陽和が気を失うまで抱いた。

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