55 / 211

第55話 陽和side

目が覚めて3秒間はハルの寝顔が綺麗で見惚れていた。 時間は何時だろうか、だるい身体を動かしてスマホで時間を確認すると夜中の2時、ああもう、発情した犬みたいにヤりまくったせいでご飯も食べ損ねたし、お風呂だって入り損ねた。 溜息をついてると後ろから腕が回ってきて俺のスマホを持つ手にハルの手が触れる。 「···何してんの」 寝起きの掠れた声、やけに厭らしいその声が頭の中で響いて胸がきゅっとなる。 「時間を、確かめただけだよ」 「···何時···?」 「2時」 「···寝ろ」 ハルは眠たいようで言葉が少ない。 スマホを元あった場所に戻し、元いた場所に戻るとハルがすかさず俺を抱きしめてくるから嬉しくてハルの胸に額をつける。 スースーと規則正しい寝息を立てていて、きっともう寝ているだろうと思いいつもなかなか言えない言葉を言っておこうと口を開く。 「好き」 小さい声だし、そもそも本人は寝ているし、言葉は伝わってないと思うけど、気持ちは伝わればいいなと思って「大好き」ともう一度呟いた。 「···何でそれを俺がちゃんと起きてる時に言わねえの」 「···起きてたんだね」 「そりゃ、そんなに好き好き言われちゃ、寝てらんねえだろ」 「そんなに言ってない」 「···お前って、本当···可愛い」 額にかかっていた髪を退けられて、そこに何度もキスを落としてくるハル。すごくくすぐったい。 「はいはい、ハルくんそろそろ寝ましょうね」 「陽和ちゃんも寝ましょうねぇ」 一定のリズムで優しく背中をトントンと撫でられて、そのおかげか俺はすぐに眠りに落ちた。

ともだちにシェアしよう!