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第61話 晴臣side
「···疲れた」
「お茶飲みますー?」
「いや、いい」
車で移動すること早1時間、あとどれくらいで着くんだろうか。昨日は眠れていないから···というより俺が自ら寝なかっただけなんだけど。そのせいで少し車に酔って気分も悪い。
「やべえ、酔った」
「車一度止めましょうか?」
「あとどれくらいかかる」
「30分程度かと」
運転をする早河がそう言う。隣に座っている世那が俺に「横になりますか!?」と自分の膝をトントンと叩いているけど、ちょっと待て、それは膝枕をしてくれようとしているのか。有難いけど「大丈夫だ」と言って背凭れに体を預け目を閉じる。
「ついたら起こしますねぇ」
「···ああ」
鳥居の声が遠くに聞こえる。
ああ、眠たい。
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