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第64話
15分ほどして戻ってきた早河は「仕事を受けてくれました。ですが簡単な情報でも探るのには最低1日はかかると」と俺に報告をして、どうせ明日も全員ここにいるんだし、それなら大丈夫だろう、と頷いてみせる。
「最低でも1日はかかるらしい、今日はとりあえず解散だ」
今日の話し合いは終えて、ほとんどが部屋から出て行ったのに、俺と早河と鳥居と世那と、それから遼に燈人に赤石は残っていた。
「お前の頼んだ情報屋って?」
遼が口調を崩して聞いてくる。
「俺たちはカラスって呼んでる。年中黒い服を着てな、けれどあいつ自身は真っ白なんだ」
「真っ白?アルビノか?」
「いや、髪は色を抜いてるし、肌はなかなか外に出ないから白いだけ」
長い間会ってねえなぁ···とカラスの事を思い出す。
あいつの考えてることはわからない。
大抵の情報屋は一つの仕事に大金を求めてくるが、カラスの場合は俺の頼む仕事には一切金を求めてこない。くれと言ってくるのは俺と話をする時間、それだけだ。
「信頼できる相手なのか?」
燈人が訝しげに俺を見る。
「ああ」
強く頷く俺に今更反対する気もないようで「なら、いい」と立ち上がり「お腹がすいた」と言う赤石を連れて部屋を出て行った。
「若もホテルに行かれますか?」
「ああ···」
遼に「じゃあな」と言ってから早河達と一緒に俺も部屋を出る。早くホテルに行ってゆっくりしたい、時間はもう午後の6時、いつもはゆっくりと過ごしているから今日みたいな日はしんどい。
「ホテルに着いたらお前らもゆっくり休めよ。俺の警護とかはもういいから」
「わかりました」
「えー!じゃあ俺酒飲む!」
「え、いいんですか?」
早河は了承の返事をするだけなのに、鳥居は酒!酒!とうるさくはしゃぎだし、世那はそれでいいのかと不安そうにしている。
やっぱりうちの組の奴らは個性的な奴らばっかりだ。
改めてそう思った瞬間だった。
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