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第67話

燈人に電話をかけると、ちょうど行為中だったらしい。 やたらとする衣擦れの音に、くぐもった赤石の声、ああ本当ごめん。早河にはメールを送って確認したのにお前にそれをするのを忘れていた。 「っ、何だ」 「···悪い、終わったら連絡くれ」 「わかった」 モヤモヤする。 俺だって陽和とヤりたいわ。なんて思いながらチッと舌打ちを零し燈人から連絡が来るまで少し眠ることに決めた。 あの調子だとまだまだヤるつもりだろうし。ていうかこんな時間から盛ってんじゃねえよ。まだ7時だぞ!?といつもの自分は棚に上げてそんな事を思っていた。 結局燈人から電話が来たのは9時前。 「さっきは悪かったな」 「いい、赤石は寝てんのか?」 「ああ。で、何だ?」 「···これは俺と、俺の親父、それから俺の所の幹部の早河と、お前しか知らない事だ」 「へぇ、俺もお前に信頼されてるってわけか」 「ああ」 ククッと喉で笑った燈人は「で?」と話を促す。 早河にした様に同じ説明をすると「なるほどな」と返事をされた。 「でも、お前は俺を信頼してくれてる様だが、もし俺が犯人だったらどうしてたんだよ」 「そしたら、その時にまた考える」 「頼りない答えだな。···まあいい、取り敢えずこれは真守にも秘密にしておく。お前はなんだ、その情報屋と何とかして犯人突き止めろよ」 「わかってる、じゃあ、さっきは邪魔して悪かったな」 「本当だ。まあいい、じゃあな」 電話を切って「はぁ···」と溜息をつく。 その後に親父にも同じ様に連絡をして、警戒する様にと伝えた。後は陽和だ、あまり怖がらせてもだめだし、取り敢えず俺が帰るまでは大学を休んでもらえないか、相談しよう。

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