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第70話
「じゃあユキくんはもうずっと命さんと一緒にいるんだね」
「うん、俺が14歳の時に命に会ったから、もうちょっとで7年になるよ」
ニコニコと笑顔で話をしてくれるユキくん。きっと彼には負の感情があまりなくて、だからこんなに何でも嬉しそうにして話してくれるんだと思う。
「ねえ、ちょっと意地悪なこと聞いていい?」
「意地悪なこと···。お、俺のこと、嫌い···?」
「違う違う!違うくて、あの、もし命さんがいなくなっちゃったら、どうする···?」
「命が、いなくなったら···」
うーん、と真剣に考えているユキくんはだんだんと目に涙を溜めて、でもそれを誤魔化すように首を左右に振った。
「命はね、いなくならないから大丈夫だよ」
「···どうしていなくならないってわかるの?」
「だって命、俺のこと大好きだもん。それに、俺も命が大好きだから、命は俺を残して何処かに行ったりしないよ。」
柔らかく笑ったユキくん。
見た目はすごく優しくて柔らかい印象なのに、すごく強い人なんだと知る。
「ひよくんは···」
陽和と名前を言えばひよくんとあだ名をつけてくれたユキくん。ああもう可愛い。全部が可愛い。
「ひよくんは、そうは思わないの?」
「···俺は、そう思いたいと思うよ」
「じゃあ、今は、思えないんだ」
優しく微笑んで「じゃあ」と言葉を続けるユキくん。
「もっともっとハルくんに甘えないとね」
「甘える?」
「うん、それから、好きってたくさん言ってもらうの」
「どうして?」
「だってね、そうしたら、えっと···あの···」
「そうしたら、俺も自信つくかな」
ユキくんの言いたいことは何となくわかって、そう聞いてみるとまた優しく笑って「うん」と言ってくれる。
「でもね、その代わり俺も命にたくさん好きって伝えるよ」
「俺、好きって面と向かって言うの、恥ずかしくてできないんだよね」
「でも、ちゃんと言葉で伝えないと今度はハルくんが寂しい気持ちになっちゃうよ」
俺と目を合わせて「ね?好きって伝えるの、大切だよ」と言葉の大切さを教わった。よし、今晩にでも電話して好きを伝えてみよう。
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