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第75話
「どうした?」
ハルのお父さんは優しく笑って俺を迎え入れてくれる。
けれど俺の様子がいつもと違うと気付いたようで「何か怖いことでもあったか?」と自分の座るソファーの隣の空いているそこをトントンと叩いた。
きっとここに座れって意味なんだろう、ゆっくり腰を下ろすと髪をワシャワシャと撫でられる。
「あ、あの、ハルの···」
「うん?」
「ハルの···えっと、拳銃が···」
「ハルの拳銃?」
それを言ってからあれ、なんかちょっと卑猥じゃないか!?と思ったけど、ハルのお父さんは俺が何を言いたいのかわかったようで険しい顔をして「悪いな」と言った。
「うちみたいな家庭はあれくらい持っておかなきゃなんねえんだ」
「いや、あの、驚いただけだから···」
「俺も、ハルも、銃で人を何人か撃ってる。ここにいればそういう経験を嫌でもすることになるんだ。きっとお前にはハルがやらせねえけどな。頼んでもあいつはやらせてくれないと思うぞ」
「···頼むことなんて、一生ないと思います」
「···そうだといいけどな。さてと、飯食いに行くか」
立ち上がったハルのお父さんは俺の肩を軽く叩き、それから部屋の奥にあるドアの方に行って「飯食ってくる」と多分ハルのお母さんに行ってから戻ってくる。
「今日はフライングすんなよ」
「ご、ごめんなさい!」
「いや?謝ることじゃねえよ。あれはあれで可愛かったからな。でも今日はハルもいねえし···」
「今日は大丈夫です!」
ハルのお父さんは俺に笑いかけてから、いつもご飯を取る広間に向かった。
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