80 / 211

第80話

それから少ししてハルとの電話を切り、片付けをしてからベッドに入る。 布団を頭まで被って目を閉じるけどやっぱりいつもと同じじゃないからかなかなか眠れない。 こういう時は寝よう寝ようと思っても無駄だ。 天井をボーッと見たり、ストレッチしてみたり、けれどそれでも眠れなくてだんだんとイライラしちゃう。 「はぁー···」 起き上がってテレビをつけてソファーに寝転びながらそれを見てると、今度こそだんだんと眠たくなってきた。よし、寝よう。結局、テレビを消してそのままソファーで眠った。 「──い、おーい、陽和さん」 「ん、ぅ···」 「こんな所で寝てないで···」 「あれぇ···?命さん···」 「寝るならベッドに行ってください。朝飯はどうしますか?何か適当に作りましょうか?」 意識がだんだんとはっきりしてきて慌てて起き上がった。けれど突然すぎて目眩を起こしたようでソファーの背もたれにもたれて目をぎゅっと閉じる。 「大丈夫ですか?」 「···はい。ごめんなさい」 「いや、別にいいんですけど···朝飯どうします?」 朝起きてすぐの目眩のせいで気持ち悪い。口元に手を当てると命さんは察してくれたようで慌てて部屋にあった袋を渡してきた。 「背中擦りましょうか」 「いや、本当、大丈夫です···」 低血圧って困る。それにいつもと違うハルがいないっていうことも関係してるんだと思う。そんなに深く眠れなかった。 「軽いもの作りますね」 「あ、ありがとうございます···」 「いえ、休んでてください」 そういった命さんはそっと俺の膝裏と背中側に腕を差し込んで抱き上げる。 ちょ、ちょっと待って!何これ、お姫様抱っこだよね!?俺重たいのに!! 頭の中でパニックを起こした俺は何も言う事ができず、されるがままになっていた。 「···あ、そういえば、命さん、何でここに?」 「親父に様子を見てこいって言われたんです。飯食ってなかったら食わせて、それから連れて来いって」 「そうなんだ···」 チラリと時計を見ればもう10時を過ぎていた。

ともだちにシェアしよう!