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第82話
「お前、俺が折角フォローしてやったのにあんな態度じゃ何かあったって丸わかりだろうが」
話し合いを終えて燈人と二人だけで話をする。
その点については申し訳ないと思うけど、俺はそのことでイライラしてるんじゃねえ。
「じゃあお前は赤石と3日会えなくても平気なのか」
「···平気じゃねえな」
「昨日7時頃から盛ってたもんな」
「うるせえ。何だよ恋人に会えなくてイラついてんのかよ」
クスクスと笑う燈人に頷いてみせると俺の肩をとんと叩く。
「一応、明日が終われば帰れるんだ。どうせ今日の夜も情報屋から連絡くるんじゃねえか?」
「···多分」
「その情報によっちゃ、明日のうちに帰ることもできる。犯人がわかれば後は潰すだけだからな」
「そうだな」
───俺と燈人は似ている気がする。
どれだけ俺たちと一緒に道を歩んできた仲間だとしても、裏切りが発覚すれば情もなく殺すことができるんだろう。
思えば俺が人を殺したのは15の時。その時も一切の恐怖も不安もなく無心でチャカの引き金を引いたのを覚えてる。
「···お前が初めて人を殺したのって、いつ?」
「何だよ突然。確か13くらいかな」
「その時、怖いとか···感じたか?」
「いや?これが俺の仕事だって理解してたから怖いなんて思わなかったな」
煙草を咥え紫煙を揺らす燈人。
ああ、やっぱり俺たちは似てる。
「多分、俺は根っからのサドだと思うんだ」
燈人の突然のその言葉に「は?」と思わず声が出た。
けれどそれに対して燈人はケラケラと笑うだけ。
「こういう仕事をしてる分にはいいんだろうけど、最近真守に対しても、こう、俺の支配下に置きたいというか···」
「はぁ?」
「痛くて泣いてる真守が俺に助けを求めてくるの、最高に可愛いだろ?」
「···赤石じゃなくて、陽和なら可愛い」
「お前も大概サドだな」
「普段はノーマルだ」
そんなくだらない会話をしてると赤石が「燈人ー!」と言いながらやってきて俺の眼の前で燈人に抱きつく。
慌てて煙草の火を消した燈人は「危ねえだろうが」と怒っていたけれど赤石には関係ないらしい。
「何の話してたの?」
「秘密だ。さてと、そろそろ部屋に帰るかな」
秘密にしたことで赤石は唇を尖らせて「俺も聞きたいのにぃ」と言う。その唇を摘んだ燈人は「ブッサイクな面してねえで部屋に行くぞ」と言い、それに怒り出した赤石は「誰がブサイクだよ!俺、自分で言うけど顔は整ってるよ!!ね!若!!」と俺に詰め寄る。
「お、おお···そうだな」
「だよね!?あいつの目おかしいんじゃない?そう思わない?」
「···とりあえずお前は燈人と部屋に帰れ」
変な喧嘩に巻き込まれたくない。
手を振れば渋々といったように燈人と部屋を出て行った赤石に「はぁー···」と深くため息を吐いた。
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