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第94話
「あ?何だそれ」
俺の手にあるものを見て親父は眉を寄せる。
箱のままだったから中身を取り出してみせるとより訝しげな顔になって「薬か」と呟いた。
「俺宛に送られてきた」
「今回のことと関係あるんだな?」
「カラスが言うには、薬で商売をしたい。うちと同盟を組んでる誰かが、まずは俺に薬の良さを分からせたいんだと」
「で?どうするつもりだ」
「許す気なんて更々無え。カラスに犯人を見つけさせて、それからは一気に片付ける」
俺の考えに「お前に全部任せる」と返事をした親父は「お前も飲むか?」と酒を煽る。
「飲む」
母さんが「じゃあ用意してくるわね」と立ち上がる。
「陽和は寝てんのか?」
「ああ、寝ちまった」
腰を下ろすと「お前も疲れてんだろ」と口元だけで笑う。
「晩飯前に寝たから、別に」
「へぇ」
話をしているとだんだん口寂しくなってタバコを取り出し口に咥える。
「外で吸え」
「んー」
外に続くドアを開けてそこに身を乗り出し火をつけた。
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