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第95話
母さんが帰ってきて俺に酒をくれる。
タバコの火を消してそっちに寄ると「お疲れ様」と言ってくれた。
「大変だったでしょう」
「いや、そんなに。いつもの親父に比べたら全然だ」
「ふふっ」
柔らかく笑った母さんは「陽和くんはもう寝てしまったの?」と聞いてきて、どうやら二人とも陽和のことが気になるらしい。
「ああ」
「あの子、あなたがいない間、ちゃんと眠れていなかったと思うの」
「え···」
「やっぱり、大切な人が側にいないっていうことは不安なのよ。」
親父に少しもたれ掛かる母さん、親父もそれに満足しているようで口角を上げていた。
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