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第109話 晴臣side

「陽和くん、帰ってきませんねぇ」 「そうだな」 夜の9時に部屋で煙草を吸っていると鳥居がやって来てそう言った。 煙草臭い!と窓を開けて俺のすぐそばに寄ってきた鳥居は「探しに行きません?」と聞いてきたけど「行かねえ」と返す。 「あいつが自分で決めたことだ」 「それはそうですけど!!心配じゃないですか!」 「ならお前が行け」 煙草を灰皿に押し付け火を消す。椅子から立ち上がるとその途端拳が飛んできてそれを顔面で受け止めた。 「探しに行きましょうよ」 俺の頬を殴ってすぐ、よくそんな穏やかな声でものが言えたものだ。 「あいつが覚悟を持ってやって起こった事に、どうして俺が動かなきゃなんねえんだ。」 「そんな事ばっかり言ってると陽和くん、いなくなっちゃいますよ」 「それは自分の意志でか?それなら仕方ねえな」 もし本当にそうなったら困るんだけど。 「それにお前はあいつの本当の姿を見たことないからそんな事言うんだ。あいつは頭もキレるし、考えてることも黒い時がある。自分でどうにかするって決めたらそれを曲げる事はねえし、どうせ帰ってくるから大人しくしてろ」 「そんな事言って何かあったらどうするつもりですか!」 「さあな」 鳥居がうるさいから部屋からサーっと出て世那の部屋に行くことにした。

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