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第113話

寝起きの状態で門の前に連れていかれる。 そこには鳥居の言っていた通り、陽和と遼が居て遼は気まずそうに視線を下げている。 「ハル!」 「···帰ってこないんじゃなかったのかよ」 一言目に出た言葉が、自分でも思っていた以上に冷たい。 陽和は少し驚いたようで、それでも俺に向かって勢い良く話し出す。 「お願い、許してあげて」 「しつこいぞ」 「お願いします、何でもするからっ」 「はぁ···」 鳥居はこの何とも言えない雰囲気で何かを察したらしく、黙って俺の隣にいる。 「···じゃあ、もういい。遼の事は許してやる。けど、陽和。お前、もう二度と俺の前に現れるな」 「え···」 「けじめのつけられないやつを、傍には置いてられない」 「ま、待って···」 「それにお前は何でもするって言っただろ。俺は面倒臭いのは嫌いだし、お前も、もう危険にさらされなくて済む。これでいいだろ」 鳥居は何も言わない。 きっと俺のこの選択に間違いがないと思ったからだと思う。 踵を返し、中に入った俺の後ろから鳥居は付いてきて「良かったんですか」なんて聞いてくるけど、良くなかったらこんな選択初めからしていない。 「木川の件ももう終わる。早河が来たらそう伝えてくれ。」 「あの、若···」 「あ?」 「若が我慢すること、ないんですよ」 そんな鳥居の言葉を背中に受け、自分の部屋に戻る。 途端、体からフッと力が抜けて倒れ込むようにソファーに寝転がる。 「······間違ってなんかねえよな」 不安を感じて、深い息を吐いた。

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