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第114話

9時前に早河が「鳥居から聞きました」と言いやってきた。 昨日預かった仕事の分を渡し「同盟の奴らに連絡入れといてくれ」と投げ捨てるように言葉を吐く。 「その、木川組の初めに薬に手を出した奴だけ、引きずり出すんですか」 「ああ。遼に命令すればそれぐらいはやってくれるだろ。というか、それくらいしなけりゃ、流石に許さねえ」 煙草を吸って煙を吐く。 ああもう、体が怠い。 「若、顔が赤いですけど、体調が悪いんじゃないですか」 「大丈夫だ」 「···わかりました。何かあれば呼んでください」 そう言って出て行った早河、身体の節々が痛い気がするけど、きっと気のせい。今朝の事がまだ心に残っているのか、なんなのかはわかんねえけど。 「はぁ···」 煙草の火を消せば、視界がグルリと回った。 机に顔を伏せるとそれは多少はましになって、ただ酷く吐き気がする。 「ちょっと寝るか···」 ベッドに移動してそこに寝転ぶ。 次起きた時、少し楽になっていればいいと思った。のに。 「晴臣、入るわよー」 「ん···」 「あら、どうしたの」 「ちょっと、無理」 母さんが部屋に来て、俺の寝ていたベッドに腰掛ける。 「熱?」 「知らね。寝る」 「そう。ゆっくり眠りなさい。疲れが出たんでしょう。トラさん呼ぶ?」 「まだ大丈夫」 「無理しないでね」 母さんが俺の腹をポンポンと撫でた。 自然と眠たくなってきて、目を閉じる。

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